2022年も残すところ2カ月。
改めて今年1年のビジネスを振り返ってみると、1つの傾向が伺えます。
「儲けのしくみ・ビジネスモデル構築の極意」、第61回のテーマは「タイパ」です。

タイパとは何か

タイパとは、タイムパフォーマンスの略です。

ベースになっているのは、もちろん「コスパ」。

時間もお金と同じ尺度で捉える考え方です。

商品やサービスなどに対して、その費用あたりの効果がコスパ、時間あたりで測るのがタイパです。

コスパ、タイパいずれかが成立していればOKなのかといえばそうではありません。

コスパが成立した上で、かつタイパも機能していることも求められています。

例えば、目的地に早く着く(タイパ)からと言って、タクシーを優先的に使うかといえばそうではありません。

1つの商品やサービスに対して、複数の効果・効能が包含されることで、一度の利用・使用にかかる時間あたりのコストと時間をカバーするスタイルが市民権を得つつあるのです。

なぜ、タイパが求められるのか

傾向が顕著に現れているのがYouTubeです。

以前は適正な視聴時間として15~20分程度とされていました。これ以上長いと誰も見てくれないと。

今やさらに短くなり、3分や5分といった短い、いわゆる切り抜き動画と呼ばれるものがメインストリームを形成しつつあります。

数分で内容がわかる。冗長的なオープニングなどは一切不要。

ニュース、エンタメ、教養などジャンルを問わずこうした傾向に飲み込まれています。

1本あたりが短時間化することで、一定時間中により多くの動画を見ることが可能になるわけです。

もちろん、こうした傾向は動画の世界だけに留まりません。

書籍や映画といったコンテンツ全般にその広がりを見せています(飛ばしながら映画を見るなど)。

なぜ、こうした傾向が顕著になってきたのか。

少なくとも2つの理由が考えられそうです。

1つめは、よく指摘されている通り、「将来への不安」です。

2022年は、2月のウクライナ戦争からその幕を開けました。

11月現在も続いており、核の使用などがささやかれるほど、出口が見えないどころかより悪化の様相を呈しており、わたしたちに大きな不安感を与えています。

2つめが、オンラインの日常化と浸透です。

コロナ禍が少しずつ収束傾向になりつつある中、オンラインによるライフスタイルがあたり前化しています。パソコンやスマホの中で、数回クリックやスワイプするだけであらゆることが短時間で解決する。時間がかかってしまうことがむしろ例外的に感じられるようになってしまいました。

とにかく時間が早ければそれでいい、というわけではありません。

上述したとおり、そこには必ず「コスパ」が包含されています。

事例を交えながら、もう少し掘り下げてみましょう。