免税事業者がインボイス発行事業者となる場合の3年間の激変緩和措置について解説します。

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免税事業者がインボイス発行事業者となる場合、納税額が売上税額の2割に軽減されます。このことについて解説していきます。

 

【令和5年度税制改正の大綱】

令和4年12月23日に政府の「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

今後1月末頃には税制改正法案が国会に提出され、通常、3月末までに法案の国会審議を経て、これに関連する政省令が公布されます。

したがって、内容については今後の国会審議状況等も注視していく必要がありますが、現段階での大綱ベースで令和5年度税制改正について解説します。

令和5年度税制改正では、個人投資家の優遇制度「NISA」の抜本的な拡充・恒久化を行うほか、株式譲渡益に課税しないなどのスタートアップ・エコシステムの抜本的強化に向けた具体的な方策など、様々な改正事項が盛り込まれています。

円滑・適正な納税のための環境整備では、適格請求書等保存方式の円滑な実施に関する改正や電子帳簿等保存制度の見直しが挙げられます。

これらの具体的な改正内容について解説します。

1.免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置(現行制度)

免税事業者である者が、取引の相手方が仕入税額控除できるようにするため、インボイス発行事業者となる場合、課税事業者となって、消費税の申告・納付を行う必要があります。

この激変緩和措置として、現行制度では、免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置を設けて、6年間は仕入税額相当額の8割・5割を仕入税額として控除できることとされています。

要するにこの6年間に免税事業者と取引先である課税事業者との間で価格交渉等を行い、免税事業者がインボイス発行事業者として登録するかどうか検討するということだと思います。

したがって、免税事業者のままでいた場合の激変緩和措置という位置づけです。