税務において欠かせない「通達」。昨年は、副業300万円問題で注目されました。その影響力の大きさから「通達=法律」と見る人は少なくないようです。しかし実は通達は法律ではありません。今回は、「税務通達とは何か」を会計業界の方向けに書いてみました。

▼副業300万円問題については、こちらの記事を参照

副業300万円問題、国税庁が大幅修正!帳簿があれば事業所得?

通達とは何か

最初に通達の位置づけを確認してみましょう。

「行政機関の指揮・命令」が通達

日本の行政機関の設置・組織を定める国家行政組織法の第14条第2項では、次のように書かれています。

第14条

2 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。

上位の行政機関が下位の行政機関と職員に対して職務権限の行使を指揮し、職務についての命令を行うための文書が通達です。

特定の法令に関し、統一的な解釈や取扱を確保するための命令・指令となっています。

国民への拘束力はない

下位の行政機関からすれば、通達は上位の行政機関からの指揮・命令です。

従わなければ懲戒される可能性があります(国家公務員法第98条第1項、第82条)。

しかし、通達が拘束するのはあくまで下位の行政機関と職員のみです。

国民に対する法的拘束力はありません。

日本は「租税法律主義」だ

一方で「日本の租税は法律に基づくべきである」と、日本国憲法の第30条と第84条で定められています。

第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

租税は国家運営の財源を確保する手段ですが、国民が持つ財産の一部を強制的に国家に移してもいます。

つまり、国民の財産権を侵害しているわけです。

国民の財産権が不当に侵害されることのないよう、租税は法律にもとづくことが求められています。

第30条は「納税の義務」として知られていますが、見方を変えれば「法律の定めがなければ義務を負わない」と言えます。

第84条は租税法律主義を明確に定めたものです。

課税対象や税率及び手続き等について明確に法で規定し、その適用も厳格になされなければならないとしています。