確定申告の際には忘れずに基礎控除についても申告しておかなければなりません。
この記事では、基礎控除の考え方の基本から申告方法まで詳しく解説したうえで、その他の所得控除についても解説します。
この記事の目次
基礎控除とは
基礎控除とは、所得税額の計算をするときに、総所得額等から引くことのできる項目の1つです。
ここでは、基礎控除の仕組みと概要について詳しく解説していきます。
所得と控除の基本
私たちに課される所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。
1年間に稼いだすべての所得から、所得控除を差し引いた残りである課税所得に、一定の税率を適用して税額を計算します。
所得税の税率は、所得が多くなるに従って段階的に高くなり、納税者がその支払能力に応じて公平に税を負担する仕組みとなっています。
所得とは収入のこと
所得とは、収入を意味する言葉です。
たとえば、会社で働いている人であれば、給料(収入)をもらっています。
個人事業主の人であれば、自分で収入を稼いでいるはずです。
控除とは差し引くこと
所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味することを目的として、所得税法では所得控除の制度を設けています。
控除とは、課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除することです。
控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。
所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されるので、控除額が大きければ大きいほど、所得税額は少なくなります。
基礎控除の概要
基礎控除とは、総所得金額などから所得に応じて定められた金額を差し引くものです。
総所得金額から基礎控除分が差し引かれることで課税所得が減少します。
基礎控除があることで、納めなければならない税額は減少するわけです。
具体的な数字を入れて説明すると、基礎控除とは、合計所得金額が2,500万円以下である場合に、その合計所得金額に応じて最大48万円が控除される控除です。
基礎控除の適用を受けるためには、基礎控除申告書を必ず提出しなければなりません。
申告書の提出漏れがあると基礎控除を受けられない可能性があるので注意してください。
基礎控除は、2020年から38万円から48万円へと10万円引き上げられています。
事実上の減税措置です。
従来は所得に関係なく一律で38万円の基礎控除が受けられたものの、2020年からは所得に応じて0円から48万円の控除に変更となっています。
そもそも、基礎控除は生活保障的な意味合いから設けられたものです。
従来、基礎控除は所得の多い少ないに関わらず、一定額を所得から控除する所得控除の方法が取り入れられてきました。
しかし、この控除方式は、所得が高いほど基礎控除による税負担の軽減額が大きいという問題を抱えていました。
そこで、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要は乏しいのではないかという考えに基づき、控除額について、所得2,400万円超から逓減、2,500万円超(0.3%)で消失させることになったのです。
(参照元:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/b08_5.pdf)
2020年に基礎控除が改正された理由は、働き方改革のためです。
働き方の多様化を踏まえて、働き方改革を後押しするなどの観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げて、どのような所得であっても適用される基礎控除の控除額を10万円引き上げています。
(参照元:https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2018/01.htm)
基礎控除の金額
納税者本人の合計所得額に対応し、基礎控除額は次の通りとなります。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
(参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm)
納税者本人の合計所得金額が2,400万円を超える場合は、その合計所得金額に応じ、控除額が逓減していきます。
合計所得金額が2,500万円を超える場合は基礎控除の適用はされないので注意してください。
基礎控除額が38万円から48万円となったので、その分だけ課税所得が減るため、この改正は減税措置であると考えられます。
しかし、これまでは一律で受けられていた基礎控除が、納税者本人の合計所得金額次第で制限されてしまうので、所得の大きい方にとっては増税措置となります。
なお、令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。