固定資産税は、土地や家屋の価格によって変わります。特に家屋の評価においては、家屋に特定の設備を設置すると固定資産税が高くなります。この記事では、実際に固定資産税が高くなるのはどのような設備なのかなどを解説します。
この記事の目次
固定資産の評価と課税の仕組み
固定資産税は、課税対象となる土地や家屋などの価格を課税標準として課税されるものです。
この課税標準となる固定資産の価格は、適正な時価としなければなりません。
したがって、固定資産を評価するということは、課税対象となっている固定資産の適正な時価を求めるということです。
それでは、固定資産の適正な時価はどのようにして求めれば良いのでしょうか?
結論から言えば、固定資産税の評価の際に求める価格とは、土地の場合は、「売買実例価額」を基準として評価し、家屋については、「再建築費」(価格)を基準として評価する方法が採用されています。
売買実例価格とは、文字通り、売買することを仮定した場合の土地の値段を固定資産税を算定する際の根拠とするもので、再建築費とは、評価の時点で新築すると仮定した場合に、必要となる建築費を、屋根・外装仕上・天井仕上などの部分別に合計して評価点を算出する方法のことを言います。
なお、この記事では固定資産が高くなる設備について説明するので、ここからは設備と関わりのある家屋評価に焦点を絞って解説していきます。
家屋の評価額は、評価の対象となる家屋について「評価点」を求めて、それに「評点1点当たりの価額」を乗じて算出します。
評価点は、さらに(1)再建築費評点数、(2)減耗の状況による原点補正率、(3)需給事情による減点補正率によって決まります。
(3)の需給事情による減点補正率とは、建築様式が著しく旧式となっていたり、所在地域の状況によってその価額が減少すると認められるなどといった場合にのみ、その減少する価額の範囲内で求めるものです。
補正率は、市町村長が定めた率を適用して評価点を求める際に利用するので、適用される家屋は限定的です。
したがって、以下では(1)と(2)のみを説明します。
(1)再建築費評点数とは
家屋の再建築費評点数は、木造家屋と非木造家屋の区分に応じて定められてる「木造家屋再建築費評点基準表」と「非木造家屋再建築費評点基準表」を適用することで、各個の家屋の各部分別の再建築費評点数を算出まず算出することから始めます。
その後、各個の家屋の各部分別の再建築費評価点を合計して、課税対象の家屋の再建築費評点数」を求めます。
つまり、家屋の評価額は、次のように求めます。
家屋の評価額=評点数(再建築費評点数×減耗の状況による減点補正率×需給事情による減点補正率)×評点1点当たりの価額
(2)経年減点補正率とは
減耗の状況による減点補正とは、新築後、年数の経過に応じて生じる宅地の価格の減価を、固定資産の評価の際に考慮するための数値です。
たとえば木造家屋経年減点補正率基準表(抜粋)は、次のようになります。
(引用:https://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/R3_hyoka_aramashi.pdf)
この表で示されているように、延床面積1.0㎡当たり再建築費評点数別にまずは区分して、その点数に応じ、経過年数に応じて経過減点補正率が定められています。
評点1点当たりの価額とは
家屋の評価の最後の要素である評点1点当たりの価額とは、1円に対して物価水準による補正率と設計管理費等による補正率を乗じて得た額のことを言います。
たとえば、木造家屋における物価水準による補正率は以下の表のようになります。
(引用:https://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/R3_hyoka_aramashi.pdf)
課税標準額とは
上で説明してきたように、家屋の価格(評価額)は、再建築費評点数を求め、経年減点補正率と評点1点当たり価額を乗じて算出されます。
そして、この価額のことを課税標準額と呼び、この標準額に基づいて固定資産額が決まります。
なお、課税標準額は、増築・取り壊しなどがない限り、3年に1度しか行われません。
つまり、課税標準額は原則として3年間変わらないので、固定資産税額も原則として3年間は変わらないということです。
税額の計算について
固定資産税額は、上で求めた課税標準額に対して1.4%を乗じることで求めることができます。
固定資産税は、家屋を建築、増築した翌年度から課税されることになります。
なお、都市計画税についても、上で求めた課税標準額に対して0.3%を上限として自治体ごとに定められた税率を乗じて求めることができます。