個人事業主が確定申告をする場合の流れ
ここからは、個人事業主の方が青色申告、もしくは白色申告で確定申告を行なう場合の流れについて説明していきます。
1. 開業届の提出
個人の方が事業を開始する場合、原則として開業届の提出が必要です。
開業届とは、個人の方が、事業を開業したことを税務署に対して届け出るための書類を言います。
青色申告を行なう方については必ず提出しておく必要がありますが、白色申告で確定申告を行なう方については必ずしも提出する必要はありません。
なお、その年の1月16日以後に新たに開業した方で、青色申告を行なう個人事業主の方については、開業の日から2カ月以内に提出すればいいことになっています。
2. 確定申告書の準備・作成
開業届けを提出して事業を開始し活動を行ったら、原則として2月16日から3月15日の間に確定申告を行わなければなりません。
確定申告を行なう際に利用する書類は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
もしくは、所轄の税務署の窓口で確定申告に必要な書類を受け取ることも可能です。
確定申告の際に必要となる書類は青色申告と白色申告で異なりますので、以下では必要な書類を分けて解説していきます。
2-1. 青色申告のケース
青色申告で提出が必要な書類については、国税庁が以下のようにまとめています。
所得税青色申告決算書(一般用)【令和2年分以降用】
|
・令和4年分青色申告決算書(一般用)の書き方 |
・令和4年分青色申告の決算の手引き(一般用) | |
・令和4年分青色申告者のための貸借対照表作成の手引き | |
・帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) |
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r04.htm)
2-2. 白色申告のケース
白色申告で提出が必要な書類については、国税庁が以下のようにまとめています。
収支内訳書(一般用)【令和4年分以降用】
|
・令和4年分収支内訳書(一般用)の書き方 |
・令和4年分白色申告者の決算の手引き(一般用) | |
・帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) |
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r04.htm)
3. 確定申告書の提出
作成した確定申告書は、所轄の税務署に提出する必要があります。
提出が必要な書類は青色申告のケースと白色申告のケースで異なるので、それぞれ分けて解説していきます。
3-1. 青色申告のケース
青色申告では、貸借対照表と損益計算書等(青色申告決算書)を確定申告書に添付して、確定申告期限内に提出しなければなりません。
3-2. 白色申告のケース
白色申告では、収支内訳書を確定申告書に添付して確定申告期限内に提出しなければなりません。
確定申告のスケジュール
次に、確定申告を行なうに際して、個人事業主の方が把握しておくべきスケジュールについて解説していきます。
1. 確定申告書に関する帳簿の作成(1/1~12/31)
正確に課税所得を計算するためには、日々の帳簿への記入(記帳)が重要です。
そのため、確定申告書を提出する前年の1月1日〜12月31日までの事業に関する取引について、すべて適切に記帳する必要があります。
2. 確定申告書の必要書類の準備・作成(~3/15)
確定申告書を提出する期間は、2月16日から3月15日までと所得税法で決まっています。
3. 確定申告書の提出(2/16~3/15)
確定申告書とうえで説明した書類を、上の期間内に提出します。
4. 計算した税金の納付(~3/15)
確定申告書を提出する際に計算された課税所得に基づいて、納税すべき税額が計算されています。
確定申告書を提出する際に、所得税(申告所得税)及び復興特別所得税、贈与税を納めます。
5. 確定申告の際に利用した帳簿の保管(提出から7年間)
確定申告で利用した帳簿および書類などについては、青色申告で確定申告をしている個人事業主の方については、原則として7年間保存する必要があります。
ただし、書類によっては5年間でよいものもあります。
5年間の保存で問題ない書類としては、たとえば、請求書・見積書・納品書・送り状などといった書類が該当します。
青色申告の帳簿書類の保存期間は次のとおりです。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類
|
決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(※) | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
※ 前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年
(引用元:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kichou01.pdf)
一方、白色申告で確定申告を行っている個人事業主の方については以下のとおりです。
保存が必要なもの | 保存期間 | |
帳簿
|
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書類
|
決算に関して作成した棚卸表その他の書類 |
5年
|
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 |
(引用元:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm)
まとめ
個人事業主の方は、原則として確定申告を行なう必要があります。
確定申告をしなくてもいいケースは、非常に稀です。
個人事業主の方が事業活動の結果として得られた収入を、その収入を得るために支出した必要経費を差し引くことで算出された課税所得に応じて、納めるべき税額が決まります。
この課税所得の計算は自分自身で行わなければなりません。
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告で申告した方が、控除額が大きくなる分、納めるべき税額を抑えることが可能です。
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