この記事では、固定資産税をシミュレーションするために、固定資産税の基礎から丁寧に徹底解説します。読むことで、実際に自分で固定資産税のシミュレーションができるようになります。

この記事の目次

そもそも固定資産税とは?

固定資産税のシミュレーションをするうえでは、固定資産税の対象となる資産がどのようなものかを少しでも理解しておく必要があります。

そこで、以下では固定資産税が課される資産について簡単に解説していきます。

固定資産税が課される資産:1. 土地

固定資産税が課される資産の1つが土地です。

一口に土地といっても様々な用途で利用されるのが普通です。

そのため、土地については、税額を計算するために用いるその価格について、どのように使われているかに応じた調整が行われます。

固定資産税の対象となる具体的な土地は以下のとおりです。

田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)

(引用: https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html#ko_01_05

固定資産税が課される資産:2. 家屋

家屋についても固定資産税が課されます。

家屋と言っても、様々な家屋が世の中には存在しますが、以下のような3つの要件に照らして合致するものが家屋として固定資産税の課税対象となります。

(1)定着性: 基礎があり、土地に定着している

(2)外気遮風性: 屋根があり三方向以上の周壁がある

(3)用途性: 居住・作業・貯蔵などの用途で利用できる状態である

具体的には、以下のようなものが家屋となります。

住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物

(引用:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html#ko_01_05

固定資産税が課される資産:3. 償却資産

固定資産税が課される資産としては、償却資産という資産もあります。

聞き慣れないものかもしれませんが、償却資産とは事業活動のために所有している資産のことを言います。

償却資産については、毎年1月1日現在の内容について1月31日までに資産の所在を市町村に申告しなければなりません。

具体的には、以下のようなものが償却資産に該当します。

構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産。ただし、自動車税種別割、軽自動車税種別割の課税対象となるものは除く。

(引用: https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html#ko_01_05

通常、事業を営む方以外は償却資産に対して課税されることはありません。

固定資産税の計算の仕方

上記で説明したように、固定資産は土地、家屋、償却資産に大別されます。

ここでは、それぞれの計算方法についてどこよりも詳しく解説していきます。

なお、償却資産については、事業を営む方以外には関係ないので割愛します。

土地の計算方法

固定資産税のうち、土地に対する課税までの流れは次のとおりです。

  1. 区域区分と路線価
  2. 土地の状況
  3. 価格(評価額)
  4. 特例措置
  5. 負担調整措置
  6. 課税標準額

まず土地の価格を決めるために、上記1の「区域区分と路線価」において、区域区分と路線価を確認します。

住宅地や商業地など、地域の状況に応じて区分を行って、さらに街路の状況などから類似する地域を区分します。

その後、状況類似地域の中から不動産鑑定に基づいて決定した土地の価格を用いて、地域内の道路ごとに設定した価格から路線価が決定されます。

次に、2の「土地の状況」において、宅地、畑、山林など、土地の利用状況を認定します。

ここでは、登記簿上の地目に関わらず、現況の確認が行われます。

さらに、固定資産評価基準に基づいて、3の「価格(評価額)」で区域区分と路線価や土地の状況から評価額(固定資産税評価額)を算出します。

あとで詳しく説明するように、評価額で算定した評価額に特例措置が適用されれば、4の「特例措置」の分だけ評価額が下がります。

最後に、物価等を反映するために、特例措置で算出した評価額に対して、5の「負担調整措置」が講じられます。

その負担調整措置によって、最終的に6の「課税標準額」を算出することができるというのが、一連の流れになります。

課税標準額に対して、固定資産税の標準税率である1.4%を乗じることによって土地の固定資産税は算出されています。

家屋の計算方法

固定資産税のうち、家屋に対する課税までの流れは次のとおりです。

  1. 仕上げ材料・状態、間取りなどの調査が行われます
    ※実際には、設計図などに基づいて調査が行われています。
  2. 対象となる家屋と同一のもの、その場所に新築する場合の建築費を固定資産評価基準に掲載されている点数表をもとに計算します。この評価点を再建築費評点数と言います
  3. 家屋の建築後の経過年数による損耗の度合いを補正します。この補正率を「経年減点補正率」と呼びます
  4. 点数1点あたりの単価を乗じます
    ※点数1点あたりの単価とは、1円に対して物価水準による補正率(東京都を標準として地域格差を考慮したもの)、床面積、設計管理費などによる補正率を乗じたものです。したがって、固定資産税の計算にあたっては、固定資産がある地域、時期によって点数1点あたりの単価は異なります。
  5. 家屋の評価額が決定します

これをまとめると、以下の算式のようになります。

  • 家屋の価格(評価額)= 再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 床面積 ×点数1点あたりの単価

一般に、家屋の評価額は、専門家によって行われるので自身で計算することは困難です。

実務上、登記所から通知または所有者からの連絡によって、新増改築家屋が把握され、家屋がある事務所の家屋評価担当の職員が家屋調査を行って家屋の評価額を決定します。

家屋調査によって固定資産課税台帳に登録されてしまいさえすれば、そのままその価格が固定資産税・都市計画税の課税標準額となります。

したがって、家屋の評価額については、6月頃に送付されてくる納税通知書をみて確認することになります。