過去の税理士試験の実施データを元に、試験を突破するためのポイントを解説していきます。この記事を読むことで、税理士試験の合格率を理解して効果的に勉強を進めることができます。

この記事の目次

税理士試験の概要と合格率

まずは、税理士試験の概要と合格率について解説していきます。

税理士試験の概要について

税理士試験とは税理士となるために必要な資格試験で、会計学および税法の科目を受験する必要があります。

税理士試験は会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と、税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税)のうち、受験者の選択する3科目(所得税法または法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。

税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく1科目ずつ受験し、合計で5科目に合格すれば、税理士試験に合格したことになります。

税理士試験に合格したら、税理士事務所の所在地の税理士会に入会し、登録申請を行います。

日本税理士会連合会の名簿に登録されると、税理士として業務ができます。

税理士試験の合格率の実情

税理士試験の全科目合格率は例年15%程度という大変難しい試験ですが、科目の合格は永続的に有効です。

受験回数に制限はありませんので、多くの受験者は毎年1〜2科目を受けながら数年かけて5科目の合格を目指します。

税理士試験の必修科目は、簿記論・財務諸表論の2科目で、これら2つに合格することが必須です。

選択必修科目としては、所得税法・法人税法があり、どちらか1つの合格が求められます。

さらに、選択科目は、消費税法または酒税法(いずれか1つを選択)・相続税法・固定資産税・国税徴収法・住民税または事業税(いずれか1つを選択)の7科目で、この中から3科目を合格する必要があります。

年齢別の合格者数と合格率

令和4年度における税理士試験の合格者数と合格率は、次の表の通りです。

区分
受験者数
(A)
合格者数等
合格率
(B/A)
学歴等区分 5科目
到達者数
一部科目
合格者数
合格者数合計
(B)
学歴別
(実人員) (実人員) (実人員) (実人員)
大学卒 21,822 493 3,561 4,054 18.6
大学在学中 1,463 436 436 29.8
短大・旧専卒 660 16 75 91 13.8
専門学校卒 2,591 59 404 463 17.9
高校・旧中卒 1962 44 389 433 22.1
その他 355 8 141 149 42.0
年齢別
41歳以上 10,805 274 965 1,239 11.5
36~40歳 4,407 112 743 855 19.4
31~35歳 4,581 114 901 1,015 22.2
26~30歳 4,131 82 911 993 24.0
25歳以下 4,929 38 1,486 1,524 30.9
合計 28,853 620 5,006 5,626 19.5

(引用: 令和4年度(第72回)税理士試験結果|国税庁

この表からわかる通り、税理士試験合格者の中で最も多い層は25歳以下となっていますが、それ以上に30代からでも十分合格を目指せる試験である、ということに注目していただきたいです。

つまり、税理士試験は働きながらでも合格を目指せる試験であることを示しています。

科目別の受験者数・合計合格者数・合格率

令和4年度における税理士試験の科目別受験者数・合計合格者数・合格率は、以下の通りです。

区分
受験者数
合格者数
4年度合格率
(参考)
3年度合格率
科目
簿記論 12,888 2,965 23.0 16.5
財務諸表論 10,118 1,502 14.8 23.9
所得税法 1,294 182 14.1 12.6
法人税法 3,454 425 12.3 12.8
相続税法 2,370 336 14.2 12.8
消費税法 6,488 740 11.4 11.9
酒税法 454 60 13.2 12.6
国税徴収法 1,709 235 13.8 13.7
住民税 476 82 17.2 12.7
事業税 269 38 14.1 12.6
固定資産税 910 167 18.4 13.8
合計
(延人員)
40,430 6,732 16.7 16.5

引用: 令和4年度(第72回)税理士試験結果|国税庁

科目別合格者数をみると、簿記論が最も合格率が高いと言えます。

ただし、税理士試験において簿記論・財務諸表論は必須科目ですから、合格率も当然高くなります。

効率的に税理士試験に合格したい場合は、選択科目のうち少しでも合格率が高い試験を受けた方が良いと考えられます。

ただし、合格後どのような専門性を活かしていきたいか十分検討したうえで、受験する科目を選択することが大切です。

過去数年の合格率の推移

科目別の過去数年の合格率の推移は、以下のとおりです。

科目 令和4年 令和3年 令和2年 令和元年 平成30年 平成29年
簿記論 23.0 16.5 22.6 17.4 14.8 14.2
財務諸表論 14.8 23.9 19.0 18.9 13.4 29.6
所得税法 14.1 12.6 12.0 12.8 12.3 13.0
法人税法 12.3 12.8 16.1 14.7 11.6 12.1
相続税法 14.2 12.8 10.6 11.7 11.8 12.1
消費税法 11.4 11.9 12.5 11.9 10.6 13.3
酒税法 13.2 12.6 13.9 12.4 12.8 12.2
国税徴収法 13.8 13.7 12.2 12.7 10.7 11.6
住民税 17.2 12.7 18.1 19.0 13.5 14.3
事業税 14.1 12.6 13.1 14.8 11.0 11.9
固定資産税 18.4 13.8 13.5 13.7 14.9 13.3
合計
(延人員)
16.7 16.5 17.3 15.5 12.8 17.0

( 国税庁公表の税理士試験結果を参考に筆者作成)

この表をみると、毎年の税理士試験の合格率はそれほど大きく変わるわけではないことがわかります。