インボイス導入後の税務調査の際のインボイスの扱いについて、令和5年度税制改正の国会審議から読み解きます。
令和5年10月1日以後は、帳簿及びインボイス発行事業者から交付を受けたインボイスの保存が仕入税額控除の要件となります。
インボイスには、請求書、納品書、領収書、レシート等、書類の名称は問いませんが、法定された記載事項を満たしている必要があります。
また、小規模事業者の納税額を売上税額の2割に軽減する2割特例の適用をはじめ、取引先は実際にインボイスの登録がなされている事業者なのか、端数処理は誤っていないかなど、新たに設けられた各種制度の適用が誤っていないかを、税務調査で確認される可能性があります。
それでは、税務調査の際にはインボイスはどうように扱われるのかについて、見ていきたいと思います。
1. 税務調査の際のインボイスの扱いについて
まず、令和5年度税制改正に関する国会審議の中から、税務調査の際のインボイスがどのように扱われるのかについての質疑の内容を、見ていきたいと思います。
令和5年2月10日の衆議院財務金融委員会における、財務大臣及び国税庁次長の発言の要旨です。
○財務大臣
「国税当局が行います税務調査につきましては、大口で悪質な不正計算が想定されるなど調査必要度の高い納税者を対象としているところでありまして、これまでも、請求書等の保存書類についてなどの軽微な記載事項の不足を確認するための税務調査は実施していない、そのように承知をしております。
インボイス制度導入後も、こうした方針に特に変更はないと聞いております」
更に、国税庁からは以下の答弁がありました。
○国税庁次長
「国税庁といたしましては、インボイス制度について、制度の定着を図るため、調査の過程でインボイスの記載不備を把握したとしても、インボイスだけでなく他の書類等を確認するなど柔軟に対応していくということで考えてございます」
このように、インボイスの記載事項の軽微な誤りを確認するための税務調査は、従来から行っておらず、これからもそうするということです。
さらにはインボイス自体に記載不備があったとしても、他の書類などで事実関係を確認するなど柔軟な対応を行っていくとされています。
したがって、基本的には従来どおりの税務調査への対応を行っていけばよいということかと思います。