近年の食材や人件費の高騰により、多くの飲食店がメニュー価格を値上げせざるを得ませんが、無理な値上げは客離れに直結します。そこで、値上げの注意点を説明します。

この記事の目次

メニュー価格の値上げは必要!?

神奈川でイタリアンを2店舗経営としているGさんは、お店のメニュー価格の全般的な値上げを検討していますが、それが客離れに繋がらないか不安で悩んでいました。

近年、食材やドリンク代、水道光熱費、人件費など、経費が全般的に高騰しています。

その中で今までと同じメニュー価格で経営するためには、客数を増やすしかありません。

しかしながら、客数を増やすにも席自体の数の限界もありますし、客数を増やすと、食材やドリンク代などの経費もおのずと膨らむので、経営的に利益を維持するだけでも厳しい状況になってしまいます。

そのために、メニュー価格の値上げを検討する必要があるのです。

3つの視点でメニュー価格をチェックしよう

その後Gさんは、飲食店専門の税理士に相談し、メニュー価格の値上げの注意点について教えてもらいました。

お店のメニュー価格を値上げする際に、3つの視点で注意をしなければなりません。

具体的には、自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つで、3C分析とも言われています。

メニューごとの価格を見直す際に、それぞれ理論原価を算定し、計算上で儲かるメニュー価格を作成します。

せっかくメニュー価格を値上げしても、計算上儲かるようになっていないのであれば意味がありません。

また、メニューブックを変更するような値上げを何度も行うと、客離れに繋がりますので、計画的に行う必要があります(自社の視点)。

作成したメニュー価格案について、グルメサイトなどを活用して、同業他社の同じ商品と比べて高すぎないかもチェックし、高すぎるメニューがあれば修正する必要があります。

当たり前の話ですが、同業他社よりも高すぎると、お客様に高い印象を持たれてしまい、客離れに繋がります(競合の視点)。

さらに、メニュー価格を改定するタイミングについても注意が必要です。

値上げはお客さんに負担が生じるため、積極的に受け入れられることはまずありません。

その際に大事なのは、納得感です。

スーパーマーケットなどでの日常品の値上げや多くの飲食店の値上げのタイミングに合わせて値上げを行うことで、反感を抑えられます。

値上げが遅れてしまい、周りが値上げをしていない中で行うと悪目立ちしてしまい、客離れに繋がります。

またラーメンは1,000円、ファミリーレストランは1,500 円、グルメバーガーは2,000円など、業種・業態ごとにお客さんの許容できる価格の壁がありますので、この壁を越えないようにしましょう(顧客の観点)。

  • メニュー価格を値上げする際に役立つ3つの視点
視点 注意点
自社
・メニューごとの理想原価率を算定し、計算上、儲かる値上げになっているかチェックしよう
競合
・ベンチマークしている競合店の同一商品の価格と比べて、高すぎないかチェックしよう
(グルメサイトを活用することで簡単にチェックできます)
顧客
・値上げがお客さんにとって負担感のないタイミングとなっているか、チェックしよう
(世の中が値上げしているタイミングが、悪目立ちしない絶好の値上げのタイミングです)
・業種や業態ごとに、お客さんが許容できるメニュー価格の壁を超えていないかチェックしよう
(ラーメンは1,000円、ファミリーレストランは1,500円、グルメバーガーは2,000円など)

実際先ほどのGさんも、税理士に相談し、3つの視点などからしっかりと準備して計画的に値上げをし、客離れを抑えることができ、お店の利益を増やすこともできました。

飲食店を改善するためにはメニュー価格の見直しから!

3Cを活用して計画的にメニュー価格の値上げを行い、客離れを抑えて利益を増やしましょう!


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