日本において年金支給額は毎年の物価変動等によって減額することがあります。本記事では令和4年度の年金支給額の減額について解説したうえで、年金支給額の減額に備えて今からしておきたい事について解説します。
この記事の目次
年金額が減額されたのはいつから?
令和4年4月分から年金額は減額されました。
以下では、令和4年4月分から国民年金と厚生年金がそれぞれどの程度減額されたのかについて解説していきます。
国民年金の支給額の減額
国民年金の支給額は、令和4年4月分から原則0.4%の減額となりました。
令和3年度 (月額) | 令和4年度 (月額) | |
国民年金 (老齢基礎年金(満額):1人分) |
65,075円 | 64,816円 (▲259円) |
厚生年金の支給額の減額
厚生年金の支給額は、令和4年4月分から同じく原則0.4%の減額となりました。
令和3年度 (月額) | 令和4年度 (月額) | |
厚生年金 (夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 220,496円 | 219,593円 (▲903円) |
年金生活者支援給付金の支給金額の減額
年金生活者支援給付金の支給金額についても減額されています。
年金生活者支援給付金とは消費税の増税分を利用して設立された制度で、公的年金等の収入やその他の所得が特定の基準金額を下回る人々に対して、その生活の援助を目指し年金に追加で支払われるものです。
年金生活者支援給付金の基準額は、物価の変動に対応するために毎年度見直しを受ける仕組みで、令和4年度には前年度から0.2%減少しました。
さらに、国民年金の保険料を免除されている期間がある場合、老齢基礎年金の額の減少に伴い、老齢年金生活者支援給付金の金額も調整(減額)されます。
令和3年度(月額) | 令和4年度(月額) | |
老齢年金生活者支援給付金 | 5,030円 | 5,020円 |
障害年金生活者支援給付金 | 1級 6,288円 2級 5,030円 |
1級 6,275円 2級 5,020円 |
遺族年金生活者支援給付金 | 5,030円 | 5,020円 |
年金支給額が減額される要因
年金支給額が減額される要因としては様々な要因が考えられます。
ここでは、年金支給額が減額される代表的な要因を2つ解説していきます。
人口構成の変化
社会全体の人口構成が変わると、公的年金制度の財源が影響を受ける可能性があります。
特に高齢者の人口が増え、一方で労働世代の人口が減少すると、年金を受け取る人々と年金に貢献する人々のバランスが崩れます。
これは、現役世代の社会保険料が高齢者の年金支給に使われるという現行の年金制度上、高齢者人口の増加により持続可能性に問題が生じるためです。
このような人口動態の変化は、年金支給額の見直しや制度全体の改革を必要とする可能性があります。
経済状況の変化
また、国の経済状況は公的年金の支給額に直接的な影響を与えます。
経済が衰退し国全体の生産性や収入が減少すると、それに伴い税収も減少します。
税収が減少すると政府の公的支出能力が低下し、年金などの社会保障給付費の確保が難しくなる可能性があります。
このような状況下では、年金の支給額を維持することが困難になり、結果的に支給額が減少することが予想されます。
制度の改革
年金制度自体の改革が行われた場合、それにより支給額が減少することもあります。
これは、財政の健全化や経済の状況に対応するためなど、様々な理由から行われます。
年金支給額の減額に備えて今からできること
年金支給額の減額に備えて、今からできることを着実に積み上げていくことが大切です。
以下では、年金支給額の減額に備えて今からできる具体的な対策を解説します。
貯金する
年金支給額の減額に備えるための基本的な方法の一つは、一定の貯金を行うことです。
毎月の生活費に余裕がある場合は、その一部を貯金に回すことをおすすめします。
また、ボーナスや臨時収入があった場合もそれを貯金に回すと効果的です。
高齢期に備えて安定した収入源を確保するためには、コンスタントに貯金を積み立てることが大切です。
iDeCoを活用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で選んだ投資信託や保険商品への積立を通じて長期的な資産形成を行うための制度です。
一定の税制優遇があり、自身で運用することで将来の生活資金の一部を補うことが可能です。
また、一定の収入がある場合は、公的年金とは別に自己負担で老後資金を積み立てることができます。
NISAを活用する
NISA(少額投資非課税制度)は、投資を通じて資産を増やすための制度であり、投資による利益が一定期間非課税となります。
NISAは、リスクをとってでもより高いリターンを目指す方に向いています。
一定の投資知識が必要ですが、取引は証券会社やネットバンクなどで容易に行うことができます。
適切に活用すれば、長期的に見て資産を増やすことができ、年金額の減少を補う手段となり得ます。
まとめ
年金支給額は、毎年、物価変動等の要因によって変動します。
令和4年度については減額となりましたが、今後も年金支給額が減少し続けるわけではありません。
しかし、人口構成が変化し経済成長が難しい環境下においては、将来的に年金支給額が少なくなる可能性は高いと考えられます。
したがって、自分自身で年金支給額の減額に備えて今から準備をしておくことが大切です。
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