令和5年6月30日に、電子帳簿保存法における売上高5千万円以下の検索機能の確保不要の要件の詳細が国税庁一問一答で明らかにされました。

この記事の目次

電子帳簿保存法における売上高5千万円以下の検索機能の確保不要の要件について解説します。

1. 検索要件機能の確保

電子取引を行った場合の電子データについては、従来はその電子データについて書面に出力してその書面を保存し、電子データは保存することまで求められていませんでしたが、その出力した書面の保存では、他者から受領した電子データと同一性が確保されていないことから、受領等した電子データ自体の保存が令和6年から義務化されることになります。

したがって、出力した書面による保存は認められなくなります。

この電子取引データを保存する場合、可視性を確保するため、

イ 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)

ロ パソコン、モニター等の見読可能装置の備付け

ハ 検索機能の確保として、日付、取引金額、取引先の項目について検索できること

等が求められています。

しかしながら、ハの検索機能の確保は、システムを導入するか、エクセル等で一覧表を作成するか、又はファイル名に検索項目を入力すること等により、検索できるようにしておかなければなりません。

なお、可視性の確保の要件に以外にも真実性の確保の要件を満たす必要があります。

2. 検索機能の確保不要の要件

令和6年から電子データの保存が義務化されるのは、その事業規模を問わず、小規模・零細事業者含め全ての所得税と法人税の事業者で帳簿書類の保存義務が課されている者です。

小規模・零細事業者にとっては、検索機能の確保のためにシステムを導入することは資金的な事情からできない場合もあり、また、ファイル名の入力等の事務負担を負うことも困難な場合が想定されます。

このため、消費税の免税事業者の判定基準と同様の、判定期間に係る基準期間の売上高が1千万円以下の場合には、検索機能の確保の要件が不要とされています。

令和5年度税制改正では、事業者の実態を勘案し、この1千万円が5千万円に引き上げられました。

この改正は、令和6年1月1日以後に行う電子取引から適用することとしています。

この5千万円の判定基準は、簡易課税制度の内容を勘案して定められたことから、その基準期間については、簡易課税制度と同様の方法で判断することになります。

この引上げによって、多くの小規模・零細事業者にとって、検索機能を確保しなくて済むことになりますが、対象者が増えることによって、その5千万円の基準をどう判定するのかという関心も高まってきます。

これに応えるため、令和5年6月30日に公表された、国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)問45において、その判断基準の詳細が明らかになりました。