「被雇用者年金制度の一元化」とは、国民が公的年金に対して信頼を持つようにするための取り組みであり、私学共済は厚生年金に統合されました。そこで公的年金のシミュレーションを行います。
この記事の目次
公的年金の受給額シミュレーション
この章では公的年金の受給額シミュレーションを行います。
老齢基礎年金の受給額シミュレーション
令和5年度の68歳以上の老齢基礎年金(満額)は、月額66,050円です。
ある程度それに近い金額を受け取れると考えても差し支えないでしょう。
老齢厚生年金の受給額シミュレーション
老齢厚生年金(年間)は下記の式で簡易計算することができます。
老齢厚生年金(年間)=平均年収÷100万円×5,500円×働き出してから辞めるまでの年数
あくまでこれは非常に複雑な老齢厚生年金の受取額の計算をより簡易に行うための計算式です。
受給額の予想を算出するためのもので、将来受け取る年金額を完全に正確に示すものではありません。
さらに、今後の年金制度の変更等によって、試算結果が異なる可能性があります。
より正確なシュミレーションを行いたい方は厚生労働省の公的年金シミュレーターをご利用ください。
なお、例えば年収4,000,000円なら老齢厚生年金(年間)=4,000,000円÷1,000,000円×5,500円×38年=836,000円。
年収6,000,000円なら老齢厚生年金(年間)=6,000,000円÷1,000,000円×5,500円×38年=1,254,000円となります。
公的年金の種類
私たちは、働き方や年齢によって、次の2つの公的年金に加入します。
- 国民年金
- 厚生年金
それぞれ加入条件や納付方法が異なるため、詳しく解説していきます。
国民年金
国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方全員が加入する年金です。
月々の納付額が決まっていて、納付した月数によって受け取り金額は異なります。
この老齢基礎年金は65歳から支給されます。
国民年金には、第1号~第3号被保険者の3つの制度があり、それぞれ保険料の納付方法や納付額が異なります。
第1号被保険者は、自営業者や農業、漁業などに従事している方であり、自身で納付用紙などを用いて納付する必要があります。
第2号被保険者は、会社員や公務員などの給与取得者であり、直接ご自身で納める必要はありません。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者であり、自身で納める必要はありません。
第1号国民年金被保険者は、自営業者や農業、漁業などに従事している方であり、納付用紙を用いて自身で保険料を納めます。
納付方法としては、半年払い、年払い、2年払いなどまとめて支払う方法があり、自身の収支計画に合わせた柔軟な納付が可能です。
第2号国民年金被保険者は、会社などで働いて給料を受け取り、厚生年金保険・共済組合(共済年金)へ加入している方です。
保険料は制度からまとめて国民年金に拠出されるので、第2号国民年金被保険者が保険料を納付するわけではありません。
第2号国民年金被保険者に扶養されている配偶者は第3号国民年金被保険者と呼ばれ、第3号国民年金被保険者の保険料も、第2号国民年金被保険者が入っている厚生年金によって一括して負担されるため、個別に納付する必要はありません。
ただし、第1号国民年金被保険者に扶養されている配偶者は、第3号国民年金被保険者ではありません。
配偶者も第1号国民年金被保険者となります。
国民年金保険料を納める必要があります。
厚生年金
厚生年金は、厚生年金保険が適用された事業所で働いている方が対象となる年金制度で、納付した合計額に合わせて65歳から「老齢厚生年金」が支給されることになります。
ただし、厚生年金保険が適用される事業所は、株式会社などの法人に限定されます。
また、従業員が常時5人以上いる農業などの個人事業所、従業員の半数以上が同意して、事業主が厚生労働大臣の認可を受けた場合にも、厚生年金保険が適用されます。
厚生年金保険の被保険者は、適用事務所に常時使用されている70歳未満の方であり、アルバイトであったとしても、常時使用されている場合には、被保険者です。
保険料は、事業主と被保険者が半々で負担しますが、被保険者自身が勤務先を指定して保険料を納める必要はありません。
また、公的年金は厚生年金を含め、国民年金を1階、厚生年金を2階とする「2階建て構造」をとっており、厚生年金被保険者は老後に「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」の2つの年金の受け取り資格を保有することができます。
共済年金
以前存在していた公的年金制度である「共済年金」は、国家公務員、地方公務員、私立学校の教員などが対象でしたが、現在は廃止されています。
共済年金は、制度が廃止された2015年9月30日以前に受給権が発生していた場合に限り、「退職共済年金」が支払われます。
現在の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」があり、かつて共済年金の対象だった公務員や私立学校の教員も厚生年金に加入することになります。