岸田政権は「サラリーマン増税」に突き進むのでしょうか。そもそもサラリーマン増税ってどういうこと?サラリーマンの税率が上がるの?よく聞く疑問を、わかりやすく解説します。
給与所得控除や退職所得控除などについての、いわゆる「サラリーマン増税」が議論になっています。
岸田首相は、7月25日、サラリーマン増税について「全く考えていない」と否定しましたが、はたしてどうなるのでしょうかね。
今回は、その「サラリーマン増税」について解説していきます。
これまでにもサラリーマン増税はあった
今回お話しするサラリーマン増税は、2023年6月末に出た政府税制調査会の答申が発端となっています。
政府税制調査会がまとめた中期答申で、「サラリーマンは給与の3割が控除」「相当手厚い仕組み」と指摘されたのです。
ただ、サラリーマン増税はこれまでもじわじわと行われてきました。
そもそも、サラリーマンの所得は「給与所得」といって、年収から仮の経費を差し引いて求められます。
この差し引く「仮の経費」のことを、「給与所得控除」と言います。
自営業者とサラリーマンの場合で比べてみましょう。
(それぞれ、他の収入がないものとします)
1. 自営業者の場合(売上―経費=事業所得)
2. サラリーマンの場合(年収―給与所得控除=給与所得)
自営業者は様々な経費を売上から差し引きますが、サラリーマンの場合は、実際にかかった経費ではなく、仮の経費として「給与所得控除」を差し引いて、「給与所得」が計算されます。
「控除」とは「引く」ことです。
たくさん控除すれば、その分「所得」は減り、税金が減ります。
この「給与所得控除」は、これまでも徐々に引き下げられています。
平成25年~ | 年収1,500万円超の場合、給与所得控除245万円が上限 |
平成29年~ | 年収1,000万円超の場合、給与所得控除220万円が上限 |
令和2年~ | 年収 850万円超の場合、給与所得控除195万円が上限(子育て世代・介護世代以外) |
このように年収が多いサラリーマンにとっては、給与所得控除が徐々に減り、その分給与所得が増え、増税となってきました。
給与所得控除の見直し?
給与所得控除は一律に年収の何割ということではなく、年収が多くなるほど率も減っていくのですが、おおよそ年収の3割程度となっています(上限あり)。
この3割について、「日本の会社員の税金は安すぎる」ということから今回の議論となっています。
今後、給与所得控除のさらなる引き下げがあるかもしれない、ということです。
まだあくまでも議論されている段階で、どうなるかは分かりませんが、年末に発表される税制改正大綱に含まれることもありえると思っています。