自衛隊員の年金はいくらもらえるのか気になる方のために解説しています。自衛隊の年金制度の基礎知識から実際にもらえる金額、早期退職制度や遺族年金などについても紹介してますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
自衛隊の年金制度の基礎
まずは、自衛隊の方が加入する年金制度について理解しておきましょう。
ここでは、自衛隊員の方の年金制度について知っておきたい基礎知識を解説していきます。
自衛隊の国民年金
自衛隊員の方は他の職業の方と同様に、国民年金に加入することになります。
日本では、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入しなければなりません。
国民年金に加入した被保険者については、次の3つの種別に分けられます。
第1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の農林漁業従事者や自営業者とこれらの配偶者、学生などで、次の第2号及び第3号被保険者に該当しない者 |
第2号被保険者 | 公務員や会社員など(厚生年金保険の被保険者(通常70歳未満)) |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 |
このうち、自衛隊の方については国家公務員に分類されることから、第2号被保険者となることがわかります。
なお、国民年金には、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金と呼ばれる3種類の年金が含まれています。
老齢基礎年金は老後に受け取る年金、障害基礎年金は障害を負った場合に受け取れる年金、遺族基礎年金は被保険者が死亡した場合などに支払われる年金のことを言います。
自衛隊の厚生年金
自衛隊員の方が年金制度に加入する場合には、国民年金制度に加入すると同時に厚生年金制度にも加入することになります。
厚生年金とは日本の社会保障制度の一部であり、主にサラリーマンや公務員などの雇用者を対象とした年金制度のことです。
自衛隊員の方についても、この厚生年金に加入することになります。
以下に、その特徴と内容について解説します。
- 被保険者
厚生年金の主な被保険者は、企業の正社員や公務員です。
給与から一定の割合が厚生年金保険料として天引きされ、それが将来の年金として受給される基盤となります。
- 制度の特徴
厚生年金は、その名の通り給与に比例した額の保険料を支払い、退職後はそれに基づいた額を年金として受け取る制度です。
給与の額や勤務年数によって受け取る年金の額が変動します。
- 基礎年金との関連
厚生年金に加入している人は、基礎年金と厚生年金の両方に加入していることになります。
基礎年金はすべての国民が対象となる年金で、厚生年金はそれに上乗せされる形で受給されるものです。
- 給付の計算
厚生年金の給付額はその人の勤務期間や平均給与、そしてその他の諸条件に基づいて計算されます。
- 将来の変動
人口の高齢化や経済の変動など、多くの要因によって厚生年金の制度自体や給付額が将来的に変動する可能性があります。
総じて、厚生年金は日本の主要な年金制度の一つであり、多くの雇用者がその対象となっています。
この制度は、退職後の安定した生活をサポートするための重要な役割を果たしています。
自衛隊員の年金制度の注意点
次に、自衛隊員が知っておくべき年金制度の注意点について解説していきます。
自衛隊員の定年は50代前半?
自衛隊は、その能力を維持するために早期定年制や任期制を導入しているため、多数の自衛官は50代もしくは30代で退役します。
年金に関して言えば、60歳前に退役する自衛隊員は国民年金の最大額を受け取ることができません。
国民年金の最大給付を受け取るには、60歳までの間に保険料を支払う必要があるからです。
54歳で退役すると6年分の保険料が不足することになります。
この場合、受け取れる年金は満額からおよそ15%減額される可能性があります。
したがって、自衛隊員の方については、退官後も国民年金に加入して、保険料を支払うだけの収入を確保しなければなりません。
死亡した場合はどうなるの?
自衛隊員の方が死亡した場合には、国民年金に含まれる遺族基礎年金と厚生年金に含まれる遺族厚生年金が遺族に支払われることになります。
遺族基本年金の概要
遺族基本年金の概要については、次のとおりです。
- 受給の条件
遺族基礎年金を受給できること
・子供がいる配偶者が受給資格を持つ場合
・受給資格を持つ子供がいる場合
- 年金の計算
以下の条件で算出されます。(令和5年度基準)
- 妻の場合
795,000円基本額 + 2人目の子まで、228,700円加算、3人目からは76,200円追加 - 子の場合
795,000円基本額 + 2人目の子で228,700円加算、3人目からは76,200円追加
遺族厚生年金の概要
遺族基礎年金だけではなく、遺族厚生年金についても受給可能です。
以下では、遺族厚生年金の概要について解説します。
- 受給条件
一定の条件下で、遺族共済年金が支給されます。遺族の範囲や受給要件は遺族厚生年金と同じです。
以下の4つの状況のいずれかが当てはまる場合、遺族へ支給されます。
・厚生年金加入者が死亡
・退職後5年以内に初診からの病気で死亡
・2級以上の障害給付を受ける権利を持つ者が死亡
・25年以上の老齢厚生年金を受ける権利を持つ者が死亡
- 受給期間の特例
30歳未満の子がいない場合、受給期間は5年です。
30歳になる前に基本年金の受給資格が失われた場合、5年後に厚生年金の受給資格も失われます。
- 保険料の要件
死亡日の2カ月前までに国民年金の加入履歴が必要です。
納付期間と免除期間を合わせて全期間の2/3以上が必要となります。
- 遺族厚生年金の計算
報酬比例部分と中高齢寡婦加算額で計算されます。
特定の年齢や条件を満たす場合に追加加算もあります。