会計関連の良書をセレクト、紹介する「会計人ライブラリー」。今回は、「お金とは何か?」「どうやって稼ぎ、使い、貯め、増やすべきか?」について公認会計士がわかりやすく解説した書籍をご紹介します。社会に出る前の学生や新社会人ではない方にとっても役立つ一冊ですよ。

この記事の目次

 

 

 

『社会人になったら知ってほしい 人生のお金の話』
土田義憲
(ロギカ書房)

 

高校生の時にお小遣いをもらい、大学生になってバイト三昧。

そして社会人として働き始めて、給料からなんだかんだと引かれている。

さまざまにお金が飛んでいく……そんな経験があるかもしれません。

生きていくのに必要なお金について、今の日本では詳しく学ばないまま社会に出てしまうケースが多いものです。

残念ではありますが、嘆いていても仕方ありません。

むしろ今からでも学んでみよう!ということで、公認会計士である土田義憲先生が書かれた社会人になったら知ってほしい 人生のお金の話』を読んで、勉強してみました。

「社会に出る前の高校生や大学生、そして新しい社会人の皆様に人生のお金を稼ぐ、使う、貯める、増やすために知っておくべきことを伝える」のが本書のコンセプトです。

しかし、社会人になる前の人、社会人になったものの、お金のことがよくわからない……という人が読んでも充分役に立ちますよ。

まず、お金とは何かを知る

そもそも、お金とは何でしょうか。

生活に必要なもの?仕事の対価?いろいろと答えはありそうですが、この本では

  • 交換の手段
  • 価値の測定尺度
  • 価値の保存

とされています。

物々交換でも経済活動は成り立ちますが、長期保存するにはお金という存在が適していました。

これによって、貨幣経済となっていったわけですね。

学校で学んだという方も多いのでは?

お金はどうやって稼ぐ?

それでは、お金はどうやって稼ぐのでしょうか。

第一、「収入」とは何なのか……。

これもまたいたく基本的な疑問に思うかもしれません。

しかし、意外と回答するのは難しいはずです。

本によると、主な収入の区分は、「給与等・贈与・借入れ」だそう。

贈与とは親からの頭金補助などを指します。

家庭の収入は、「定期収入」と「臨時収入」に分かれ、例えばフリマアプリの売上などが臨時収入に含まれます。

定期収入にあたるベーシックなお金の稼ぎ方は、仕事に就くことでしょう。

会社に入社する、起業するなどの選択肢が考えられます。

転職やキャリアアップ、または副業などによって、収入を増やしていくわけですね。

第2章での「お金を使う(支出する)」では、その基本的ながら意外とあいまいなままにしていることについて解説されています。

自分の得ている収入・税金の仕組みを改めて振り返るという意味でも役に立つでしょう。

実際、案外知らなかったということが多いものですよ!

お金の貯め方を知るのは早ければ早いほど良い

第4章は「お金を貯める(貯蓄する)」、第5章は「お金を増やす(運用する)」について書かれています。

やはり、このふたつは興味がある方が多いでしょう。

でもそもそも、なぜお金を貯めなくてはいけないのか?

それは、人にはライフ・イベントと呼ばれる、人生の大きな出来事が起こるからです。

就職、結婚、出産、子どもの教育、住宅購入、老後など……。

住居が変われば、家族が増えれば、支出も変化していきます。

子どもの大学入学費用、マイホームの頭金など、急に大きな金額が必要になることもあるでしょう。

時には大病して、働けないのにお金だけかかるということもあるかもしれません。

何が起こるかわからないからこそ、お金を貯め、増やしておくことが重要なのです。

お金の増やし方はいくつかありますが、自分のリスク許容度を考えながらやっていくことが大切です。ちなみにお金の増やし方のひとつである資産運用、中でも新制度が始まるNISAと人気のiDeCoに関しては、こちらの書評記事でも取り扱っています。

また、お金を貯める・増やすにあたって、有利なのはどんな人でしょうか?

ひとつの正解は、時間にゆとりがある人です。

老後の資金を貯めようと思い立った時、50歳から始めると15年ほどしかありません。

30歳からならどうでしょうか。35年以上ある計算です。

時間にゆとりがあれば、短期的には損をしたとしても、長期的にカバーできるという強みがあります。