2020年12月から日商簿記3級・2級をオンラインで受験するネット試験も開始され、紙ベースの試験とどちらの方法でも受験が可能です。違いと利点、デメリットを理解し自分に適した試験形式で受験しましょう。
この記事の目次
簿記のネット試験
「簿記検定」と言えば、通常は日本商工会議所が主催する日商簿記検定を指すことが多いです。
これまでは紙ベースの統一試験が行われていましたが、2020年12月からはオンラインで受験するネット試験も開始され、どちらの方法でも受験が可能です。
ネット試験はパソコンを使用する形式で、対象は日商簿記2級と日商簿記3級に限られ、日商簿記1級は対象外です。
ネット試験開始の背景
ネット試験が始まったのは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がありました。
2020年6月と11月に行われた簿記試験では、いくつかの会場で試験中止が起こりました。
大勢の受験者を収容する会場で試験を行うことが難しくなったため、ネット試験が考案されて導入されることになりました。
ネット試験では少人数の会場で受験者を分散させることができ、試験日も調整しやすいため、受験者の安全性を確保しつつ受験が行える利点があります。
2023年以降、東京商工会議所はオンライン試験のみを実施
2023年4月から、東京商工会議所は「日商簿記検定試験」の簿記2級と簿記3級において統一試験(紙試験)の実施を中止し、ネット試験のみで受験可能となりました。
他の地域の商工会議所については、今後の確認が必要です。
一方で、簿記1級については、東京商工会議所では従来通り年に2回の統一試験(紙試験)を実施する予定です。
簿記検定のネット試験と統一試験(紙媒体)の違い
ネット試験と統一試験(紙試験)には共通点もあれば違いもあります。
試験を受ける際にはどちらの試験にもどのような違いがあるのか事前に確認し、余裕を持って受験することが大切です。
以下では、それぞれの詳細を説明していきます。
試験会場と日程
統一試験(紙試験)は特定の試験会場と日程で行われ、年に3回実施されていました。
一方、ネット試験は随時受験が可能で、自分の都合に合わせて受験することができます。
ただし、ネット試験では他の資格試験も受けることができるため、希望する資格によって受験日時や試験会場が異なることに留意しましょう。
また、ネット試験では受験票が発行されない点も覚えておく必要があります。
試験時間、出題範囲、解答方法
ネット試験では、試験時間や出題内容は統一試験(紙試験)と同じです。
ただし、回答方法が異なります。
ネット試験では、パソコン上で問題に対する回答を入力したり、プルダウンメニューを使用したりします。
計算が必要な場合は計算用紙が提供されますが、問題用紙への書き込みはできません。ネット上での試験に慣れていない場合、これらの違いに違和感を感じることがあるかもしれません。
合否判定、受験料、出願方法
ネット試験では、試験が終了すると即座に自動的に採点され、パソコンで結果を確認できます。
また、合格者にはスコアレポートが配布され、そこにデジタル合格証を取得するためのコードが含まれています。
簿記検定の受験料は、ネット試験と統一試験の両方で同じです。
ただし、ネット試験の場合、インターネットでの申し込み時には事務手数料がかかる点に注意が必要です。
また、会場問い合わせ方式で申し込む場合、会場によって事務手数料が異なることもあります。
ネット試験で合格すれば簿記検定の資格を取得し、統一試験と同等の資格を得ることができます。
履歴書にも正式に記載でき、資格の価値に差はありません。
統一試験は各商工会議所の指定した方法で申し込みます。
一方、ネット試験は、株式会社CBT-Solutionsの日商簿記専用サイトでマイページを作成し申し込む方法と会場問い合わせ方式の2つがあります。
居住地や受験会場によって申し込み方法が異なるため、前もって確認しましょう。