本記事では簿記試験(日商簿記・全経簿記・全商簿記)の範囲が変更される背景を説明したうえで、近年どのような変更があったのかを解説します。対応方法についても合わせて解説するのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次
簿記試験の範囲変更の背景
簿記試験は、経済やビジネスの変化、そして会計の実務の進化に伴い、その内容や範囲が定期的に見直されることがあります。
この見直しの背景には、国際的な会計基準の変更、経済のグローバル化、技術の進化、そしてビジネス環境の変動など、多岐にわたる要因が影響しています。
特に、近年ではデジタルトランスフォーメーションやフィンテックの台頭により、会計の領域も大きな変革を迎えています。
簿記試験の変更の必要性とその影響
各種簿記試験は、様々な理由で出題範囲の変更が行われています。
以下では、変更の主な理由と、変更に伴う受験者への影響をまとめていきます。
- 変更の主な理由
- 国際基準の適応
グローバル化が進む中、国際的な会計基準に対応するための知識や技能が求められるようになってきました。 - 技術の進化
AIやクラウド会計などの新しい技術の導入に伴い、簿記の実務も変化しています。これに対応するための新しい知識やスキルが必要となってきました。 - ビジネス環境の変動
M&Aや新しいビジネスモデルの出現など、ビジネス環境の変動に対応するための簿記の知識も必要となってきています。
- 変更の影響
- 学習内容の拡充
簿記試験の範囲が変更されることで、受験者は新しい内容を学習する必要があります。 - 実務への適応力向上
新しい範囲を学習することで、受験者は現代のビジネス環境や技術の変化に迅速に対応する能力を身につけることができます。 - 資格の価値の向上
簿記試験の内容が時代のニーズに合わせて更新されることで、資格の価値や信頼性も向上します。
簿記試験の範囲変更の背景やその必要性、影響を理解することは、受験者だけでなくビジネスの現場で活躍するすべての人々にとっても非常に重要です。
変化する環境に柔軟に対応するための知識やスキルの習得は、今後のキャリア形成においても大きな役割を果たすでしょう。
日商簿記の最新の試験範囲
まずは、日商簿記の最新の試験範囲について確認していきましょう。
日商簿記試験は、日本商工会議所と各地の商工会議所が協力して実施している検定試験(商工会議所検定試験)のうち、簿記に関する技能・スキルを検定するものです。
日商簿記試験は他の資格試験と比較して認知度が高く、就職や進学の際に高く評価される資格試験です。
2023年度の日商簿記の変更点とその詳細
2023年度の日商簿記については変更はありません。
したがって、日商簿記の試験範囲は2022年度からの変更はないと言えます。
これまで、日商簿記試験は大きな試験範囲の変更を毎年のように実施してきました。
特に、2019年には、日商簿記3級から個人商店を前提とした出題が無くなりました。
さらに、2022年には、『収益認識に関する会計基準』が導入され『売上』などの収益の会計処理の方法や考え方が大幅に変更されています。
日商簿記試験ではこの変更の影響範囲が広く、教材制作の時間や受験者の学習時間を考慮して、収益認識基準の導入による会計処理や財務諸表の変更点に関しては、2022年4月1日からの試験で問うとしていました。
2023年9月現在は、この論点も出題されるようになっています。
参考: 出題区分表日|日本商工会議所