全商簿記検定は正式名称を「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験」と言い、基本的な経理や会計の検定で学生を対象にしています。本記事では、全商簿記と日商簿記・全経簿記との違いについても解説します。
この記事の目次
全商簿記検定とはどんな検定?
「全商簿記検定」は、正式には「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験」と呼ばれ、基本的な経理や会計の分野を学びたい学生を対象にした検定です。
この検定は、主に商業高校の生徒を対象としており、彼らにとって経理や簿記のスキルを磨くための学習ツールと位置づけられています。
「全商簿記検定」は学生が学校で習得した内容を復習し、実践的な簿記スキルを向上させることを重視しています。
そのため、一般的な商業高校カリキュラムに基づいており、日常の経理業務に必要な知識やスキルを提供することを目的としています。
一方で、この検定は日本商工会議所主催の「日商簿記検定」と比較すると、難易度が低いとされています。
したがって「全商簿記検定」は、初学者や経験の浅い学生にとって理解しやすく、取得しやすい簿記資格の一つと言えます。
つまり「全商簿記検定」は商業高校の生徒を対象に、基本的な経理スキルを向上させるための資格試験です。
その低い難易度から、簿記の基礎を学びたい学生にとっては入門的なステップとして利用されることが一般的です。
全商簿記検定の級別出題範囲
全商簿記3級の試験内容は、主に会計処理に関するものです。
具体的には、個人商店をイメージした商業簿記の取引や記帳、決算などが問われます。
全商簿記2級の試験範囲は、3級よりも専門的で、商業簿記に加えて、株式会社の基本的な会計処理に関する問題も出題されます。
1級の試験範囲は「会計」と「原価計算」に分けられます。
両方の科目で合格しないと、1級の取得は認められません。
全商簿記の各級の合格基準と合格率
各級の合格基準は一律で、正解率が70%以上で合格とされます。
合格率は3級が約59%、2級が約56%、1級は原価計算で約48%、会計で約40%です。
このように見ると、各級の合格率はあまり大きく異ならないように見えますが、1級は原価計算と会計の両方で合格しなければならないため、2級・3級と比較して難易度はかなり高いと言えます。
全商簿記の資格を履歴書に書けるか
全商簿記資格を持っている場合、それを履歴書に記載することができます。
自身のスキルをアピールする手助けになるので、保有している資格は積極的にアピールすると良いです。
なお、全商簿記検定2級は日商簿記の3級ほどの難易度と言われており、一方で日商簿記検定は全商簿記検定よりもやや難しい試験とされています。
そのため、これから資格を取得しようと考えている場合は、企業側で評価されやすい日商簿記検定の取得を検討することをおすすめします。
全商簿記、日商簿記、全経簿記の違いは
全商簿記は主に高校生向けの試験内容で、一方で日商簿記・全経簿記は企業の実務に即した内容も含んでおり、難易度も上級に進むほど高まります。
以下では、これらの試験の違いについて、試験内容や対象受験者などを紹介します。
全商簿記
全商簿記の受験対象者の多くは、商業高校や商業学科を設置している高校に通う高校生です。
そのため、試験内容は主に商業高校で使用される教科書に基づいています。
全商簿記1級の難易度は、商業簿記・工業簿記の知識を必要とする「日商簿記2級」と同等とされています。
日商簿記2級は、転職市場でも一定の評価を受ける資格であるため、高校生が簿記のスキルをアピールするのに充分な資格といえます。
日商簿記
日商簿記の受験対象者は、特別な条件がないため、年齢、性別、学歴、国籍に関係なく誰でも受験することができます。
この柔軟性から、日商簿記の評判も高く、特に日商簿記2級以上の資格は合格者に対する評価が高いです。
また、日商簿記は1級、2級、3級の3つのレベルに分かれていますが、順番に受験する必要はありません。
全経簿記
全経簿記は全国経理教育協会が主催する「簿記能力検定試験」の一部で、主に経理・会計専門学校に通う学生向けの資格です。
1級から3級までの試験は、日商簿記に比べて難易度が低いと言われていますが、上級の試験は非常に難しいとされています。
全経簿記の上級に合格すると、税理士の受験資格を取得できます。
したがって、日商簿記1級の試験に合格するのが難しいと感じる人々の中には、全経簿記の上級試験に挑戦する選択肢もあるようです。