本記事では、日商簿記・全経簿記・全商簿記という3つの簿記検定試験を徹底比較します。それぞれの特徴や選び方を一覧で示しながら比較するので、自分に合った資格選びの参考にしてください。
この記事の目次
簿記検定の基本とその重要性
簿記検定は、会計の基本的な知識や技能を評価するための資格試験として、多くのビジネスパーソンや学生が受験しています。
代表的な簿記検定試験としては日商簿記・全経簿記・全商簿記があり、それぞれの簿記検定試験に特徴があるので、自分のニーズに合ったものを受験することが大切です。
簿記検定試験を通じて、簿記の基本的なスキルを身につけることができるだけでなく、ビジネスの現場での実務能力やキャリアアップにも寄与することが期待されます。
簿記検定とは?その役割と意義
簿記検定は、会計に関する基本的な知識や技能を評価する資格試験です。
具体的には、取引の記録方法、貸借対照表や損益計算書の作成方法など、会計の基本的な業務を理解し適切に実行できる能力を評価します。
この試験の意義は、ビジネスの現場での会計業務の正確性や効率性を保証するためのものです。
また、簿記検定を持っていることは、就職活動やキャリアアップの際にも大きなアドバンテージとなります。
簿記のスキルがビジネスにもたらすメリット
簿記のスキルを身につけることによって、ビジネスの場では以下のように役立ちます。
正確な財務判断
簿記のスキルを持つことで企業の財務状況や業績を正確に把握し、適切な経営判断を下すことができます。
例えば、損益計算書を正確に読み取ることで、企業の収益性やコスト構造を理解することができます。
取引先の財務状況を把握し、債権回収の際のリスク評価などに役立てる事が可能です。
効率的な業務遂行
簿記の基本的な知識や技能を持つことで、日常の会計業務を効率的に遂行することができます。
具体的には、取引の正確な記録や月次・年次の決算業務を迅速に行うことができます。
信頼性の向上
簿記のスキルを持つことで、外部のステイクホルダーからの信頼を得ることができます。
例えば、取引先や投資家は、正確な会計情報を提供する企業を高く評価します。
戦略的な意思決定
簿記の知識を活用することで、将来の投資や事業展開の方針を策定する際の参考とすることができます。
具体的には、過去のデータを基にした予算策定やキャッシュフローの予測など、戦略的な意思決定をサポートします。
簿記検定を通じて獲得したスキルや知識は、ビジネスの現場での業務遂行や意思決定において、非常に大きなメリットをもたらします。これらのスキルを身につけることで、ビジネスの成功に大きく寄与することができるでしょう。
日商簿記・全経簿記・全商簿記の特徴
代表的な簿記検定試験としては、日商簿記・全経簿記・全商簿記があります。以下では、それぞれの簿記検定試験について解説していきます。
日商簿記の概要とその特色
日商簿記の概要
正式名称 | 日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験 |
試験のレベル | ・1級 ・2級 ・3級 ・簿記初級 ・原価計算初級 |
試験日 | ・統一試験: 2月・6月・11月(1級は2月試験なし) ・ネット試験: 各ネット試験会場が設定する任意の日 |
受験資格 | 制限なし |
主な受験層 | 社会人・大学生 |
合格基準 | 70点 / 100点以上(1級は1科目でも40点/ 100点があると不合格) |
検定料 | 統一試験 ・3級:2,850円 ・2級:4,720円 ・1級:7,850円ネット試験 ・簿記初級:2,200円(ネット試験のみ) ・原価計算初級:2,200円(ネット試験のみ) ・2級:4,720円+事務手数料550円 ・3級:2,850円+事務手数料 550円(受験するネット試験会場により異なる) ※東京では、2023年4月より2・3級がネット試験のみになっています。 |
日商簿記試験とは日本商工会議所が主催する簿記能力の検定試験であり、簿記の知識と技能を証明する資格として広く認知されています。
この試験は簿記の基礎から専門的な知識までを網羅する3つのレベルで構成されており、それぞれ3級、2級、1級と呼ばれています。
簿記初級・原価計算初級は、それぞれ入門レベルであり、3級・2級・1級とは独立しています。
3級は簿記の基礎的な知識を問うもので、日常の取引を記帳するための基本的な技能を持つことを証明する資格です。
2級はより高度な簿記の知識と技能を要求され、中小企業の会計業務を担当する能力を持つことを証明する資格となっています。
近年では、連結会計が出題されるようになったことで、上場企業の経理担当者が必ず持っておきたい資格レベルとなっています。
最上位の1級は大企業の会計業務や専門的な会計の知識を持つことを証明する資格であり、簿記のエキスパートとしての能力を持つことを示すものです。
この試験は多くの企業や学校での採用試験や進学試験の参考として利用されており、簿記の知識を持つことの重要性を示すものとなっています。
特に、経理や会計の仕事を目指す人々にとっては、この資格を取得することで、自らのスキルや知識を証明する手段として非常に価値があります。
全経簿記の詳細とその強み
正式名称 | 簿記能力検定 |
試験のレベル | ・上級 ・1級(商業簿記・会計学) ・1級(原価計算・工業簿記) ・2級(商業簿記) ・2級(工業簿記) ・3級(商業簿記) ・基礎簿記会計 |
試験日 | 第210回 令和5年 5月28日(日)※第210回は上級を施行しません。 第211回 令和5年 7月 9日(日) 第212回 令和5年11月26日(日)※第212回は上級を施行しません。 第213回 令和6年2月18日(日) |
受験資格 | 制限なし |
主な受験層 | 経理・会計の専門学校に通う学生・社会人 |
合格基準 | 各級とも1科目100点満点とし全科目得点70点以上が合格。 上級は各科目の得点が40点以上(全4科目の合計得点が280点以上)で合格。 |
検定料 | ・上級 :7,800円 ・1級商簿・会計:2,600円 ・1級原計・工簿:2,600円 ・2級商業簿記 :2,200円 ・2級工業簿記 :2,200円 ・3級商業簿記 :2,000円 ・基礎簿記会計 :1,600円 |
全経簿記試験は、全国経理教育協会が主催する簿記能力の評価試験です。
試験は上級、1級、2級、3級、基礎簿記会計というレベルに分かれており、各レベルごとに評価基準や合格基準が設定されています。具体的には、各級とも1科目100点満点とし、全科目得点70点以上を合格とする基準が設けられています。
ただし、上級の場合は、各科目の得点が40点以上で、かつ、全4科目の合計得点が280点以上を合格とする基準があります。
全経簿記能力検定は全国経理教育協会が主催する資格試験で、経理や会計の専門知識と技能を評価します。
この試験は、企業の経理・会計担当者、個人事業主、コスト管理を求められる管理者、就職を考えている学生、さらには税理士試験を目指す方々に特に推奨されています。
全経簿記試験は、日商簿記試験よりも難易度が低いと言われることもありますが、上級レベルとなると難易度は日商簿記試験と遜色ない試験です。
日商簿記試験よりも認知度は下がるため、会計の専門学校などに通う学生が受験するケースが多い試験です。
そのため、受験者の数が少なくなっています。
結果として、市販されているテキスト、問題集があまり充実していません。独学で勉強する場合には注意が必要です。
全商簿記とその独自性
正式名称 | 簿記実務検定試験 |
試験のレベル | ・1級(会計) ・1級(原価計算) ・2級 ・3級 |
試験日 | 令和5年度 第96回 令和5年6月25日(日)〔全国一斉〕 第97回 令和6年1月28日(日)〔全国一斉〕 ※検定試験は年2回実施されます。 |
受験資格 | 制限なし |
主な受験層 | 商業高校もしくは商業科のある学科 |
合格基準 | 検定に合格するためには各級とも70点以上の成績を得なければなりません。ただし、1級は、各科目とも70点以上である必要があります。 |
検定料 | ・1級 会計・原価計算 各1,300円 ・2~3級 各1,300円 |
全商簿記試験は、全国商業高等学校協会が主催する簿記能力の認定試験です。
この試験は、簿記の基礎的な知識や技能を持つ人々を対象としており、簿記の実務能力を証明するための資格として広く認知されています。
試験は3つのレベルに分かれており、それぞれのレベルで求められる知識や技能が異なります。
具体的には、3級は簿記の基礎的な知識を、2級は中級レベルの知識と技能を、1級は高度な簿記の知識と技能を試すものとなっています。
全商簿記試験を受験することで、簿記の知識や技能を正式に証明することができ、これにより就職や昇進の際のアドバンテージとなることが期待されます。
また、簿記の専門家としてのキャリアを目指す人々にとっても、この試験は大変重要なステップとなるでしょう。
試験の内容や出題範囲は公式なガイドラインやテキストに基づいており、受験者はこれらの資料を参考にして十分な準備をすることが求められます。
全商簿記は、高校で使用されている教科書に基づいて出題される基礎・基本を重視した試験であるため、日頃の高校での学習成果を測るという側面を持った試験であることが特徴です。
簿記の知識や技能を客観的に評価するための信頼性の高い試験として、多くの人々から高い評価を受けています。