死別や離婚で支給される年金、保険料の未納リスクを防ぐ年金の免除・猶予制度について解説します。母子家庭の生活と将来を守るために押さえておきたいポイントを、まとめました。

この記事の目次

※年金の額は個人によって異なり、年度ごとの変更もあります。ご自身でも公式ページで最新情報を必ずご確認ください

まずは年金の基本について確認しよう

この章では、年金額の基本的な計算方法について説明します。

ねんきん定期便

母子家庭として自分が将来いくらもらえるかを知る第一歩として、まずは「ねんきん定期便」を確認しましょう。

ねんきん定期便は、日本年金機構が国民年金と厚生年金保険加入者に毎年ハガキで送付している、年金記録と年金見込額の通知書です。

ねんきん定期便には50歳未満向けと50歳以上向けの2種類があります。

・50歳未満のねんきん定期便:ねんきん定期便のハガキには、年金実施機関への問い合わせ時に必要な照会番号の記載があります。他には国民年金と、会社員や公務員としての厚生年金の納付額と加入期間が記載されており、その合計も示されています。最後に、現時点までの加入実績に基づいた年金額が記載されています

・50歳以上のねんきん定期便:50歳未満のねんきん定期便と同内容に加えて、現在の加入条件が60歳まで続くと仮定して計算された、65歳からの年金見込額が記載されています

またねんきん定期便は、マイナポータルとの連携とユーザIDの取得で登録できる「ねんきんネット」にて、PDFで確認することも可能です。

平均の年金額

通常、国民年金加入で支給される「老齢基礎年金」に、厚生年金保険加入による「老齢厚生年金」が上乗せされて支給されるのが一般的です。

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間にわたって国民年金の保険料を支払うことが基本です。

この40年間を満たすと、老齢基礎年金が満額受給できます。

2026年度(令和8年度)現在、40年間支払った場合の老齢基礎年金の満額は、1956年(昭和31年)4月2日以後生まれの方で月額7万608円(年額84万7,296円)、1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの方で月額7万408円(年額84万4,896円)となっています。

老齢厚生年金は、給与や勤務期間に応じて複雑に計算されるので、人によって異なります。

自身のねんきん定期便に記載された額を確認してみてください。

参考までに、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金に老齢厚生年金を上乗せした額の平均は、月額15万1,000円とのことです。

母子家庭の平均収入

「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子家庭の平均収入は以下の通りです。

・母自身の平均収入:年間で272万円(うち、就労収入が236万円)
・同居親族の収入を含む世帯の平均収入:年間で373万円

また以下は父子家庭の平均収入です。

・父自身の平均収入:年間で518万円(うち、就労収入が496万円)
・同居親族の収入を含む世帯の平均収入:年間で606万円

母だけの収入の(同居親族の収入がない)世帯の平均収入は、月額にすると約23万円(272万円÷12ヶ月)になります。

父だけの収入の父子家庭の平均収入・月額約43万円(518万円÷12ヶ月)と比べても、厳しい家計状況にあることがわかります。

夫と死別した場合にもらえる年金

夫が亡くなりシングルマザーになった場合、夫が公的年金に加入していれば、妻には国から遺族年金が支給されます。

これにより、当面の生活費や教育費などが確保できます。

遺族基礎年金

亡くなった夫が、

1. 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2. 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3. 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

のいずれかの条件を満たしていれば、その夫に生計を維持されていた「子のある配偶者」が受け取ることができる年金です。

受給期間は、対象となる子どもが18歳に達する年度の3月31日まで(障害等級1級・2級の場合は20歳未満まで)となっています。

なお、支給期間内であっても妻が再婚(内縁関係を含む)した場合は受給資格を失います。

【年金額 2026年(令和8年)4月分から】

・1956年(昭和31年)4月2日以後生まれの方:年額84万7,300円+人数分の子の加算額(第1子・第2子が各24万3,800円、第3子以降が各8万1,300円)
・1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの方:年額84万4,900円+人数分の子の加算額(第1子・第2子が各24万3,800円、第3子以降が各8万1,300円)

遺族厚生年金

亡くなった夫が、

1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
4. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

のいずれかの条件を満たしているとき、夫が受給する予定だった厚生年金の4分の3に相当する金額をもらえる年金制度です。

原則として妻が亡くなるまで支給されますが、再婚(内縁関係を含む)した場合は受給資格を失います。

また、夫の死亡時に妻が30歳未満で子のない場合、5年間の有期給付となります。

この場合、5年間の給付期間中に就労や自立に向けた生活基盤を整える必要があります。

寡婦年金

亡くなった夫が、国民年金の保険料(免除期間含む)を10年以上納めていて、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがないとき、また婚姻関係が10年以上あり、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けていない、との条件をすべて満たしているときに支給される年金です。

年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額になり、生計を維持されていた妻に60歳から65歳まで支給されます。

死亡一時金

亡くなった夫と共に生活をしていた妻に、一括支給される制度です。

妻に遺族基礎年金を受ける資格がなく、夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなり、かつ国民年金を36月以上支払っていれば、支払った期間に応じて12万円~32万円の一時金をもらうことができます。

ただし、寡婦年金を受給できる場合は、どちらか一方を選択する必要があります。

遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金は、夫の死亡日の翌日から5年で受給権利が消滅しますが、死亡一時金は2年で受給権利が消滅となります。