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【法人税】 ご質問 欠損金が引き継げる適格合併に該当するか?(1)

税務署の所轄の税務調査官は合併契約書の印紙を確認する程度で、組織再編税制が苦手な人が多いようです。欠損金が吹き飛んだり、含み資産の譲渡損が否認されるとすぐに何千万円、何億円となってしまいますので、しっかり勉強しましょう。

合併時の欠損金の引継ぎ」について実際にご質問をいただきましたので、ご紹介したいと思います。

Q ご質問

「1人の個人または家族が経営している同族会社が2つあります。 どちらの会社も保有割合は1人の個人が過半数以上を保有しており、 残りは家族が保有しております。 業種も異なり、会社間の売り買いがある程度ある場合、 合併時においても欠損金が引き継げるか引き継げないか 問題になるのでしょうか?」

つまり、こんな感じですね。

 

提供:M&A Online

A 回答

ご質問のケースのような一般的な中小企業の場合、欠損金の引継ぎはできるケースが多いです。一般的には問題が無いケースが多いのですが、ほんの些細なことが抵触して引き継げないということもあります。
たとえば、下記のような事情があるケースは注意が必要です。(一例です)

・ A社又はB社は最近M&Aで買収した会社である。
→欠損金・含み損の使用制限がかかる可能性があります。みなし共同事業要件を満たせば回避可能です。

合併に伴い、全部または一部の株主に合併交付金を払うつもりである。
→非適格合併になる可能性があります。

・ 現在、外部売却(M&A)を検討している。
→ 非適格合併になる可能性があります。

【法人税法上の留意点】

実際に判定を行う場合は、必ず条文等を確認し、実際の事例を具体的に当てはめ、各項目をチェックするようにしてください。会計事務所の担当者さんであれば、必ず所長先生や上司にチェックをしてもらいましょう。
組織再編については、一般的な日常の税務の知識とは雰囲気が異なる分野なので、知識の習得は少し大変かも知れません。
また環境によっては、すぐに回答してくれるような人が身近にいないケースもありますよね。税務署でも組織再編税制の専門部署は置いていません。(国税局にはあります。https://www.nta.go.jp/shiraberu/sodan/jizenshokai/…

周りに教えてくれる人がいなければ、本に頼るのも一つです。
オススメは、「企業再編のための合併・分割・株式交換等の実務」 仰星監査法人(編著), 澤田 眞史 (監修) / 清文社 です。
本書は”会計”と”税務”そして“会社法”などにも触れられています。初版から版を重ねるごとに素晴らしい本になっています。力作、名著とも言えますが、更新が大変なようで、2012年以降は改訂版が出版されていないようです。しかし基本的な部分は非常に分かりやすく解説されており、実務的な視点で作られている良書ですので、参考になると思います。
もちろん、法律は毎年のように改正されていますから、最新の条文を確認するようにしてくださいね。

【その他の留意点】

・オーナー企業同士、同族会社の合併では贈与税なども要注意です。(関連記事[贈与税] ウッカリ!?合併で贈与税が発生するケースもご参照ください。)
・印紙税や登録免許税などのコストもきちんと調べましょう。合併契約書にも印紙は必要です。
・不動産取得税について、合併による移転は非課税です。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/inde…
・(税法上の話ではありませんが)後々、民事裁判等で訴えられないように、会社法上の手続き(特に債権者保護手続きなど)はきちんと行いましょう。登記という一面だけを考えると、これらを軽視する人もいるようですが、私はお勧めしません。

【組織再編に関する税務上の視点についてのアドバイス】

本件に限らず、組織再編税制を実務的にこなすためには、税制の理解はもちろん、「全体像を見る眼」と「些細なことを見る眼」の両方の視点が必要になります。つまり、森全体を見ることと、枝葉を見ること、両方が求められます。

今回は欠損金が引き継げるか否かについて、税法上の留意点を中心に解説しました。次回は適格合併(欠損金使用制限アリ・ナシ)・非適格合併の判定について解説したいと思います。(次回に続く)

[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん/[編集]M&A Online編集部

M&A Online(2016年11月14日掲載)より転載

本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
原文をお読みになりたい方は、こちらから
http://ameblo.jp/h-k-tax/entry-12039247123.html

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