前回の「最低限知っておきたいDX化ツール(初級編)」では、会計事務所のDX化・デジタル化を前提とするDXツールについて詳しく解説しました。今回の中級・上級編では、会計事務所のDXに直結するツールを3つに分類して解説します。

この記事の目次

前回の記事(「会計事務所のDX化│第2回:最低限知っておきたいDX化ツール(初級編)」)では、DX化・デジタル化を前提とした必要不可欠なツールを紹介しました。

今回の中級・上級編では、まさにDX化・デジタル化につながるツールを紹介します。

前回同様、今回も「ITインフラツール」「バックオフィス(経営管理ツール)」「業務ツール」の3つに分けて、解説していきます。

ITインフラツール

「ITインフラツール(中級・上級)」の導入で業務のDX化・デジタル化は大幅に進みます。

中級・上級ツールの導入の前提として、初級編で紹介したツールの導入も不可欠です。未導入の場合は、まずは初級編のツールの導入から進めましょう。

(1)【中級】グループウェア

メール・ストレージ・カレンダー・web会議・チャット等のアプリが利用でき、社内のコミュニケーション・情報共有を円滑化・活性化することができます。「Google Workspace」・「Microsoft365」などが有名です。

ネット環境さえあれば、PC・スマホ・タブレットのどこからでもリアルタイムに情報にアクセス可能です。

また「Google Workspace」・「Microsoft365」であれば、文書作成(word)・表計算(Excel)も利用可能です。

これまでの事務所での情報共有の方法は、事務所の内のホワイトボード(スケジュール表)や口頭での伝達が大部分を占めていると思います。

ホワイトボードの場合、直近のタスク管理では有用ですが、写真を撮る以外、情報を残すことができませんし、口頭での伝言のみの場合は記憶が頼りになります。

メモを残すことも考えられますが、過去の情報を探すことに優れていません。

グループウェア導入の利点は、リアルタイムで情報のアクセスができること、過去の情報もすぐに検索できることの2点です。

例えば、ミーティングを欠席した者や中途入社した者への情報共有など、利便性は計り知れません。未導入の場合は、導入の検討を強くお勧めします。

またグループウェアの導入後、ミーティング結果やお客様からの伝言・要望など、口頭でのやり取りを適切に文書化して、グループウェア上に残す習慣を全従業員へ浸透させることが重要です。

おすすめ:Google Workspace、Microsoft365

 

(2)【中級】モニター・タブレット・スマートフォン

初級編では「ノートPC」を挙げましたが、中級編では「モニター」「タブレット」「スマートフォン」を紹介します。

  • 【モニター】:ノートPCに加えて複数のモニターを導入することで、画面を切替せずに作業ができるようになるため、作業効率は大幅に上昇します。
    例としてはエクセル・ワード等のファイルを編集しつつ税務ソフトを閲覧するなど、都度画面の切り替えまたは印刷して作業をするケース等が不要となります。モニターを導入する場合、1つのPCに対して2つのモニターを導入することをお勧めします。2つモニターを導入する場合は一つを横型、もう片方を縦型にすることをお勧めします。またペーパーレス化を行う際には不可欠なツールです。

 

  • 【タブレット】:移動中での資料の確認や、お客様への説明・提案時にブラウザを表示して紹介するケースなどに非常に有用です。タブレットにキーボードをつけることで、PCと同じような作業も可能です。

 

  • 【スマートフォン】:プライベートでは皆様お持ちだと思いますが、会計事務所で導入している法人はまだまだ少ないと思います。「グループウェア」の導入について先に述べましたが、「グループウェア」の導入+スマートフォンの組み合わせは情報の即時性を考えると不可欠の組み合わせです。法人契約の場合、個人での契約に比べて月額利用料が安く抑えられるケースも多いです。

 

(3)【中級】ペーパーレス化

デジタル化・DX化にはペーパーレス化が不可欠です。文書や情報がデジタルで管理されるため、場所や時間を問わず簡単に情報にアクセス可能となります。

物理的な書類の整理や保管に係る時間と労力が削減可能です。資料をデータ化するためにプリンター・ハンドスキャナーを導入しデータ化し易い環境を整備しましょう。

またデータ化した資料で作業することに慣れる必要があります。PDF・画像データの編集は慣れるまで時間が掛かりますが、Docu Worksを導入することで紙と同じような作業が実現できますので是非おすすめいたします。

おすすめ:Docu Works

 

(4)【中級】ストレージ

ストレージを導入すると、ネット環境があればどこからでもデータにアクセス可能となります。またクラウド上で同じファイル・データ(エクセルなど)にアクセスし同時に編集作業ができるため、リアルタイムでの更新が可能となります。

誰かが編集している間に作業を中断したり、編集後のバージョン管理も不要です。

また誰がいつ編集したか把握することもでき、誤ってデータを削除した場合でも復元が可能です。またデータ容量も物理サーバーでの共有ファイルに比べると低額で容量を増加可能です。

おすすめ:Google Drive、Microosft One Drive、 Dropbox 、Boxなど

 

(5)【中級】ビジネスチャット

大部分の方がプライベートでLINE・Messengerなどを利用していると思います。ビジネスチャットを導入することで手軽に社内・社外の方々とコミュニケーションをとることができます。

ビジネスチャットによっては音声通話や画面共有が可能です。これまで口頭でお伝えしていた内容を文字で手軽に共有することができるので、その場にいなかった者や後から入社した者にも再度の情報共有は不要です。

メール・電話よりも円滑にコミュニケーションが取れるので、お客様に合わせて導入するツールを検討しましょう。

おすすめ:Chatwork、Slack、Microosft Teams、LINE WORKS

 

(6)【中級】セキュリティ関連

「セキュリティソフト」はマルウェアやウィルスからシステムを保護するために非常に重要です。ここではその他ツールとまとめて中級としましたが、未導入の場合には直ぐに導入ください。

また「フィルタリングソフト」は不適切なコンテンツや危険なウェブサイトへのアクセスを事前に防ぐことが可能です。

「シングルサインオン」は各種SaaS(インターネット環境があればデバイスや時間を問わずに使用できるツール)を導入した際に、各SaaSの利用ID・パスワードだけでなく、ログインを特定の条件でのアクセスに限定できるようになるため、ユーザー管理を簡素化しセキュリティを強化することができます。

おすすめ:AseetView、Sateraito Office

 

(7)【上級】IP電話

サービスによっては固定電話よりも費用を安く抑えた上で、場所を選ばずにインターネット環境さえあれば電話を利用することができます。通話内容を自動録音・文字起こしも可能なため、口頭・メモ書きでの伝達は不要となります。

おすすめ:Zoom Phone、MiiTel、RemoTEL

 

(8)【上級】仮想デスクトップ

仮想PCにより、スマホ・タブレット・PC等の各種デバイスからクラウド上のPCにアクセスすること出来ます。

シンクライアントやVDIというのは、この仮想PCにアクセスする方法の名称です。これらを利用することで安全に、セキュリティ化されたPCにアクセス可能となり、PCを紛失した場合でも情報漏洩のリスクを軽減でき、またデスクトップ上にデータを保存できなくすることが可能です。

リモートワーク・顧問先での作業が多い場合には導入を検討しましょう。

バックオフィス(経営管理)ツール

初級では「電子契約」のみを紹介しましたが、中級編ではバックオフィスツール全般を紹介します。経営管理ツールは中級編のみとなります。

 

(1)【中級】経費精算ツール

経費報告の手続きをデジタル化し、手作業での経費処理よりも早く簡単になります。自動計算により間違いが減り経費の状況が一目で分かり管理がしやすくなります。

従業員の経費申請及び経理担当者の業務時間を大幅に削減可能となります。

移動に係る交通費をお客様へ実費請求している事務所では経費精算が固まらないと請求金額も確定しないと思います。未導入の場合は是非導入を検討しましょう!

また「UPSIDER」のような従業員毎・利用サービス毎にクレジットカード(バーチャルカード含む)を複数発行できるサービスを利用することで、基本的に現金での精算をさせず全てカードで経費を管理する方法も大変有用です。

おすすめ:楽楽精算、UPSIDERなど

 

(2)【中級】請求書関連ツール

通常の対法人税務業務のみの場合で、請求書を都度発行せず、口座引き落としのみで対応している会計事務所の場合は不要ですが、相続・コンサルティングのようなスポット案件が多い場合や立替費用請求を行っている場合には、請求書作成ツールの利用が大変有用です。

サービスによっては電子での送付と紙での郵送の両方に対応できるサービスがあり、これまで通り紙での対応が必要な場合でも郵送対応時間を削減できます。

請求書の作成・送付・追跡をデジタル化し、誤りを減らし、キャッシュ・フローサイクルを改善できます。

また相続・コンサルティング案件等が多い事務所では見積書の管理も重要となりますので、見積書の承認フローがあるサービスを選択しましょう。

おすすめ:BtoBプラットフォーム、board

 

(3)【中級】人事関連ツール(中級)

従業員情報管理、給与計算、勤怠管理を自動化し、効率的な人材管理が可能となります。

会計事務所では人事評価が属人的になりやすく、また年度比較も無く相対的な評価が行われやすいと思います。現状の採用難を考えると、従業員のモチベーションを如何に向上させ採用・教育コストを回収し、長く事務所に貢献してもらうことが重要です。人事関連をただ給与計算するのみであるとの考えるのではなく、人材開発の一部であると考えることも重要です。

おすすめ:人事奉行、freee人事労務、smartHR、カオナビなど

 

(4)【中級】バックオフィスBPO

人事・採用・給与計算・経理・マーケティング・ITサポートなど内部運営に係わるバックオフィス業務全般のアウトソーシングを行うと、先生・職員の皆様は税務業務に集中することができます。

汎用性の高いバックオフォス業務をおまかせすることで、専門性の高い税務業務に集中して取り組むことができます。

業務ツール

ここからは、税務業務を行う中で使用するツールを紹介します。上級で紹介していますが、CRM(顧客管理)ツールの導入は今後の顧客と良好な関係性を構築する上で必要不可欠となる可能性が高いです。未導入の場合には、ぜひ導入を検討してみてください。

 

(1)【中級】教育ツール

従業員育成は業務の品質を維持するために非常に重要です。法改正が毎年行われ昨今では電子帳簿保存法対応など、税法以外のキャッチアップも重要となっております。

また採用も年々難しくなっており、未経験者のOJT・教育が非常に重要です。教育の方針・方法が定まっていない場合、教育者によって属人的な教育となり、業務の標準化が進まない可能性があります。会計事務所向けの教育ツールを導入し、効果的な職員育成を進めて行きましょう。

おすすめ:NEXTAプレミアム、My Komon、e-JINZAI

 

(2)【中級】マニュアル化

マニュアルを整備することで、業務の標準化が進み、業務の品質が向上し、効率化します。業務の属人化を防ぎ、また現状の業務を把握・改善の余地を洗い出すことが出来ます。DX化を進めるためには、業務を標準化することが非常に重要なため、マニュアルを整備していきましょう。相続税申告のように年数回しか行わない業務などは、マニュアルの整備・標準化が難しいです。相続税申告のDX化ツール「NEXTA相続」を導入することで効率的な業務運営を行いましょう。

おすすめ:NEXTA相続

 

(3)【上級】CRMツール

これまで担当者の頭の中にあった顧客情報等のデータを一括で管理できるツールがCRM(Customer Relationship Management)ツールとなります。顧客データの集約や分析、顧客との関係性・やり取り等、効果的に管理が出来ます。「Kintone」や「Dynamics365」などノーコードツールを利用して、自分の事務所にあったCRMを構築しましょう。

おすすめ:Kintone、Dynamics365

 

(4)【上級】RPA

単純な繰り返し作業を自動化することにRPA(Robotic Process Automation)が非常に有効です。税務業務の中で業務フローや作業手順が決まっている定型業務を自動化することで業務を大幅に削減することができます。従業員数が多い事務所程、導入のメリットが非常の大きいです。業務の洗い出しを行い、自動化できる箇所はRPAの導入を検討しましょう。

おすすめ:Power Automate、WinActor

最後に

辻・本郷ITコンサルティング株式会社では、辻・本郷税理士法人で培った会計事務所のDX化のノウハウを、外部の会計事務所様への提供も行っております。

DX化と言っても、まず何から検討していいか分からない方も多いと思いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください!DXツールの導入支援・経理業務(記帳代行)のアウトソーシング等、会計事務所の業務を効率化できる各種サービスを展開しております。

 

【あわせて読みたい】

会計事務所のDX化│第1回:これからの会計人に求められるのが会計事務所のDX化(辻・本郷ITコンサルティング)│KaikeiZine

会計事務所のDX化│第2回:最低限知っておきたいDX化ツール(初級編)(辻・本郷ITコンサルティング)│KaikeiZine

新卒・未経験者を3カ月で即戦力化!会計事務所のための「人材教育システム」とは(辻・本郷ITコンサルティング)│KaikeiZine

採用難の解決には人材育成が必須!?会計事務所が職員の育成を行うべき4つの理由(辻・本郷ITコンサルティング)│KaikeiZine