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また狙い時が来た!? 公認会計士試験の最新事情

司法試験や医師国家試験などと並び、最難関試験と言われる公認会計士試験。しかし、2006年の制度改革のあおりを受けて、毎年合格者数傾向が変わるなど、すっかり安定性を欠く印象となってしまっている。実際にはどうなのか、ここ10年ほどの傾向についておさらいしてみよう。

公認会計士になるまでの長い道のり

4月10日、平成28年度の公認会計士修了考査の合格者が発表された。受験者1649人中、合格者1147人(合格率69.6%)だった。

公認会計士といえば最難関国家資格の一つだが、名乗れるようになるにはいくつものハードルがある。「短答式」と呼ばれるマークシート式の試験に合格すると、次は「論文式」と呼ばれる論述試験があり、それに合格していることに加え2年間の実務経験を有しており、その上で実務補習を修了して初めて晴れて公認会計士を名乗れるようになる。

先ごろ発表されたのは、実務補習の最後に行われる修了考査の合格者だ。

この合格率は例年70%付近であり、ここ数年大きな変化は見られない。実は、試験を通過したものの修了考査に通らず、公認会計士になれないという人は相当数存在する。
「最難関」の名にふさわしい、なるためにはいくつものハードルを越えなければならない資格、それが公認会計士だ。
しかし数年前、公認会計士試験が突如〝簡単〟になったことがある。

公認会計士試験にバブル期があった!?

専門職の人員を増やそうとする国の方針により、2006年に公認会計士試験の大規模な制度改革が行われた。この改革により、合格者数は突然跳ね上がったのだ。

例年ならば1千人超で推移していた合格者数が、2006年は3108人(合格率14.9%)、2007年は4041人(同19.3%)、2008年は3625人(同17.1%)、2009年は2229人(同10.5%)、2010年は2041人(8.0%)と、改革後の数年激増。公認会計士が〝取りやすい資格〟となり、受験者数も増大した(図表1)。

かくいう筆者も、2012年に短答式試験を受験した人間だ。会計専門職大学院という、短答式の受験科目が一部免除される大学院に通い、短答式を受験。まさに「公認会計士試験バブル」にあり、筆者が通学した大学院の入学者数も当時において過去最高を記録したと聞く。

しかし、問題は就職先のなさ。監査法人が受け入れ可能なキャパシティは試験合格者が増えたからといって広がるものではなく、当然のように多くの就職難民を生んだ。
制度改革時の心づもりでは、一般企業、銀行、コンサルティングファームや税理士法人での経験も実務補習として認められるため、高度な専門知識を有した人間が監査法人に限らず社会全体に広く敷衍する予定だった。また逆に、社会人でも試験に合格しやすいことを目指した改革であり、既に一般企業等で実務経験を積んだ社会人合格者が数多く輩出される予定だった。

しかし、結果としてはそうはならなかった。

まず、試験合格者の平均年齢は例年26~27歳であり、新卒一括採用型の日本企業では、監査法人に就職するコースからあぶれた大学卒業後数年経っている人間が、一般企業に就職するルートが少ない。
また、いかに制度改革が行われたとはいえ、社会人が仕事の傍ら合格を目指すには公認会計士試験のハードルは高い。筆者の場合も、「会社法」一科目しか受けずに済む短答式はクリアしたが、論述式の高い壁に跳ね返された。本格的な転職を考えている人間を除いては、合格することによるインセンティブもあまりない。
結果として大量の人間が職にあぶれることになったのだ。

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