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“税界”の裏話 夜のネオン街 銀座のクラブの税務調査

法人税の税務調査でも、不正発見割合の高い業種の常連といえば「バー」「クラブ」。過去5年を見てもダントツトップで、税務調査が行われた場合の不正発見割合は、なんと約6割に上る。

男性諸氏の夜の銀座といえば、やはり「クラブ」。こんなことを平成生まれの若い男性に話すと、「おじさん」扱い間違いないが、そもそも若い子にとっての「クラブ↓」は、「クラブ↑」で、意味合いが違ってくるらしい。「クラブ↓」は、キャバクラと一緒と思っており、キャバクラの方が業態をイメージしやすいようだ。

さて、この昭和のおじさんの社交場「クラブ↓」だが、現金商売だけに、不正経理をはじめ税務・会計処理でミスしやすく、税務署も調査の常連として定期的にチェックしている。

クラブやバーは、「接待して客に遊興飲食させる」業種であり、接客サービスの中心であるホステスの質と量が業績を左右する。この業界も人材難とのこと。優秀(!?)なホステスの確保は難しいらしい。顧客を引っ張ってくる売れっ子ホステスの引き抜きは頻繁にあるようで、ホステスが店を変わると、移籍するホステスは自己責任である売上代金を移籍時までに清算する。そのため、新たにホステスを採用する店は、ホステスに売上代金の清算資金を貸し付けるのが慣例のようだ。これを業界用語で「バンス」というのだが、「業界事情だけでなく、こうした専門用語も知っておく必要がある」(元税務調査官)というので、調査官も税法だけでなく、こうした雑学知識の習得にも努力が必要だ。

さて、クラブのママは、店の責任者としての店全般を管理しているのだが、偏見かもしれないが、計数意識、納税意識に乏しく、会計帳簿、証ひょう書類の不備も多いように聞いている。

だからこそ、税務調査で狙われやすいわけだが、調査先としてピックアップされると、客として店内の様子や、会計帳簿などだけではわからない不正の痕跡を探しにいく。

どういったところを見るのかというと、調査官の話では「『酒の仕入などから売上除外をしてないか』『ホステスから罰金を取りながら、それを除外していないか』『ホステスのスカウト料やバンスに架空計上はないか』など、ホステスとの会話から聞き出す」という。

ホステスの罰金は、「遅刻」「欠勤」「同伴指定日の非同伴等」があり、店では罰金として差し引いており、この金額を除外していることも少なくないという。

調査官は、客として店に入り、何気ない会話から、罰金のあるホステスを見つけては、その愚痴を聞く。そして月にどの程度の罰金があり、それが帳簿に正しく反映されているかなど、調べ上げるのだ。

仕事の出来る調査官は、こうした話を聞きだすのが上手く、コミュニケーション能力も高い。国税OB税理士の話では、「ホステスにばれないように、酒を飲みながら、気分よく話をさせるのは、これこそ経験が大きい」と言う。だからか、年配の国税OB税理士は、酒の強い人が多い。

そういえば、かつて国税局幹部との飲み会で、乾杯から日本酒。そして、場が盛り上がってくると、鍋の蓋に日本酒を注がれたことがあった。飲み干さないと、テーブルに置けないわけで、飲み干すころには、別の幹部職員が日本酒を持って、注ぎに来てくれる。次から次へと来られるとギブアップするしかない。流石に鍋の蓋にはまいった。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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