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余剰資金を投資不動産に変える「相続対策」

相続を考えるうえで必要となる三要素、「遺産の分割」「納税資金の確保」「相続税の節税」。遺産の分割や納税資金について、ある程度目処が立っている場合におすすめなのが、財産の組替えによる相続税の節税だ。今回は、預貯金や上場有価証券などの金融資産の割合が高い方に向けて、その一部を不動産へ組み替えることで相続税を節税する方法についてご紹介したい。

■現金を投資不動産に ~資産の圧縮効果を解説~

仮に、手許に1億円の普通預金がある場合、相続が発生した場合の評価額(相続財産額)は1億円となる。相続財産額とは、有形無形の財産を金額に直した価値のこと。つまり、キャッシュの評価額が1億円であれば、動かしようがないわけだ。

では、この1億円でマンションを購入した場合はどうだろうか。(土地代金が4千万円、建物代金が6千万円とする。)

このマンションの評価額は、まず土地の相続税評価額は路線価で評価する。路線価は、概ね時価の8割程度で設定されているため、土地の評価額は4千万円×0.8=3200万円となる。

一方、建物は固定資産税評価額で評価する。これは、概ね地価公示価格及び不動産鑑定士の鑑定評価から求められた価格の7割程度で設定されているため、6千万円×0.7=4200万円となる。

よって、土地建物合計で7400万円。キャッシュを不動産に変えるだけで2600万円も評価が下がるのだ。

また、これを賃貸に出せば、借手の権利が発生するためさらに評価は低下する。土地は3200万円×0.82(貸家建付地という評価区分となる)=2624万円、建物は4200万円×0.7=2940万円となり、土地建物合計で5564万円。

つまり、1億円が半分近くまで圧縮可能なのだ。納税額を抑えたい場合の一手法として覚えておくと良いでしょう。

■投資不動産を相続時精算課税贈与

前項で述べたような賃貸不動産の場合、毎年収入が発生し、固定資産税などの経費を支払ったあとの利益が、また財産(キャッシュ)として増えていくこととなる。

もし、利回りの良い不動産があるのであれば、思い切って次の世代に贈与することを検討してみてはいかがだろうか。

利回りが良く、まとまった金額の贈与であれば、相続時精算課税制度も考えてはどうだろうか。1億円を半分近くにまで圧縮できたので、その圧縮額を確定させ、将来の収益を次の世代に贈与することができる。

ちなみに先ほどの賃貸マンションの例で言えば、賃貸マンションを購入したあとに贈与すれば、贈与金額は1億円ではなく5564万円。相続時精算課税制度は2500万円まで課税されず、2500万円を超えた部分に20%の税金がかかるため、約600万円の贈与税が発生するものの、これは相続税の前払いであり、将来の相続税からマイナスできるというわけだ。

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