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【会計事務所インタビュー】Jグローバルコンサルティング株式会社 東京事務所代表 中川利海税理士 海外進出の課題と独立後の東京・シンガポールでの仕事

国内からシンガポールへ活躍の場を移した中川税理士(Jグローバルコンサルティング株式会社 日本法人:東京・港区, 代表=中川利海税理士 以下、「Jグローバルコンサルティング」)は、AGSシンガポール事務所の創設を一手に引き受けた経験から、海外進出の大変さを身をもって知る国際派税理士の一人だ。中小企業が抱える課題を共有し、その後は独立して日本とシンガポールを股にかけ活躍している。長年勤めたAGSを退職して独立するには大きな志と人との縁が必要だった。中川代表に、現場でしか知りえない会計業界の最前線を聞いた。

Jグローバルコンサルティング株式会社 代表取締役 東京税理士会会員相談室相談委員(国際税務担当) 税理士 中川利海氏

■海外に進出する企業が抱える2つの苦労


―AGSシンガポール事務所の設立過程で、いろいろ苦労されたこともあったのではないでしょうか。

中川 一番苦労したことは「労働ビザ」の問題なんです。日本人ばかりですと労働ビザが出ないので、シンガポール人を雇う必要があります。日本にいるときとは違う形で組織を編成する必要があります。具体的には、シンガポール人を多めに雇い、日本人の仕事をシンガポール人ができるように仕組みを変えなければなりません。

―コミュニケーションの課題はどうでしたか。言葉だけじゃなく、文化の違いなどもあったと思います。

中川 外国の人は自己主張が激しいので大変です。今となっては笑い話ですけど、賞与を査定して「あなたの賞与は〇〇ドルですよ」と言ったら逆ギレされました(笑)。「何でこんな評価なのよ!」と。

ほかには、懇親会を開くときにも気を遣います。イスラム系の人は「豚肉はだめ」「お酒はだめ」、インド系の人は「牛はだめ」など宗教上NGな食べ物、飲み物がありすぎて、もう何を食べたらいいのか分からなくなり、結局いつも鶏肉食べてました(笑)

いずれにせよ、国際的な会計税務のみならず、海外事業や海外拠点の立ち上げの大変さは私自身、身を持って痛感しており、この苦労もクライアントへのアドバイスに役立っているのかなと思います。


■独立しようと思った意外な理由


 

―AGSシンガポール事務所で充実した時間を過ごされている中、独立を考えるようになったきっかけを教えてください。

中川 独立のきっかけは意外と地味で、家族と話しているうちに決まりました。

―それで直ぐにシンガポールで独立されたのですか。

中川 いいえ。結局2016年3月末にシンガポールから帰国し東京で独立しました。ところが、独立後もシンガポールの話も多く、出張で行くことも。おかげさまで東京の仕事も増えるしシンガポールの仕事も増えるしで、どうしようかなと思っていたのです。

そんなときにもともと懇意にしていた萱場玄公認会計士・税理士と話す機会がありました。彼はもともとKPMG(あずさ監査法人)国際部で監査後、東京共同会計事務所、その後TMF(グローバル中堅ファーム)のシンガポールジャパンデスク責任者を経て、2014年にシンガポールで独立しています。彼も日本の仕事が増えているようで、最初は数件の仕事を一緒に行っていたのですが、そのうち、「それなら、一緒にやってみようか」という話になりました。現在はお互いをパートナーとして東京事務所、シンガポール事務所と位置づけています。


■ターゲットは売上規模10億円~50億円くらいの会社


 

―独立した後は、どの様に仕事を獲得されましたか。

中川 それまでの経験や人脈から徐々に顧客が増えてきました。8~9割が海外進出、特にシンガポール進出している日本の中小企業です。残り1~2割は海外から、特にシンガポールから日本に進出している会社です。

―日本の中小企業といっても大小さまざまですが、どのくらいの規模の会社が中心ですか。

中川 業種によってさまざまですが、売上規模が10億円から50億円くらいの会社が多いですね。実は、私が仕事をしていて一番楽しいのがこのくらいの規模の会社なんです。全体に目が届きますからね。

たとえば、会社規模が大きくなるにつれお客様が「財務が把握しづらくなってきた」とおっしゃれば、「財務諸表は会社を写す鏡です」と言って作成支援したり、簡易で連結決算を組んだりなどします。数字ですから、予算や過去実績と比較もできます。なので健康診断書と言うこともあります。その上で、海外を含めた色々な話ができるのです。

さらに、この規模のお客様はフィーや敷居の高さなどからビッグ4はじめ大手や中堅事務所に仕事を頼めないケースが多くあります。だからといって個人の会計事務所では頼みづらい。だから「誰か国際感覚のある総合コンサルティングをしてくれる会計士・税理士はいないか」というニーズがあるんです。


■他の会計事務所と提携できる新しいビジネスモデルを構築


 

―現在はどのようなサービスを提供していますか。

中川 ビジネスの柱は3つあります。「経営管理サポート」と「海外進出、移住サポート」と「シンガポール会計税務」の3つです。

「経営管理サポート」は、中小企業向けに「記帳代行、決算申告から経営に踏み込んだコンサルティングまで総合サポートします」という内容。「海外進出、移住サポート」は、これから海外に進出したい会社や、海外進出後の子会社を管理することがメインです。オーナーやそのご子息など、富裕層の移住や移住後のサポートもします。「シンガポール会計税務」はシンガポール事務所と連携してシンガポール現地の会計税務を日本語でサポートします。

―3つの業務の中でメインの仕事はどれですか。

中川 今は「海外進出、移住サポート」の仕事が多いです。「経営管理サポート」だけでは価格競争になりやすく、基本的に「海外進出、移住サポート」とセットで受けるようにしています。「シンガポール会計税務」とセットになることもあります。

―日本の会計事務所と提携して「海外進出、移住サポート」に特化するのもアリですね。

中川 はい。私は「既存の会計事務所と連携した国際サービス」を強調しています。

たとえば「昔から付き合いのある会計士、税理士は会社のことは良く分かっているが、海外のことが苦手だからそこだけフォローして欲しい」というニーズを持った経営者がいます。そんな経営者に私は「今の会計士、税理士をそのまま使ってください。私は国際サービスのみを担当します」と言えるんです。今の会計士、税理士は変更する必要はありません。そうするとスッと経営者に受け入れてもらえるんですね。足りないところだけ補えばそれでいいのかなと。

―今後も得意分野を強化したいとお考えですか。

中川 はい。お客様のニーズはあるのに、私のように個人規模で国際サービスを提供できる事務所は非常に少ないです。これからも、お客様の既存の会計事務所と協業できるビジネスモデルに磨きをかけていきたいと思っています。

長期的に見れば日本の中小企業にも国際化の波は押し寄せる一方です。最近は資産税に特化した事務所が増えていますね。そのうち、うちのように中小企業の国際化に特化した事務所も増えてくるのではないでしょうか。

―東京税理士会の国際税務の会員相談室相談委員にも就任されていますね。

中川 はい。どんどん中小企業も国際化していく世の中、私の知識や経験が少しでも業界のお役に立てればと思っています。こういった業界貢献を通じて、日本の中小企業の国際化に少しでも貢献できればこの上ない喜びです。

※次回どのような人材が海外で活躍できるのか。キャリアについて考える。に続きます。

プロフィール


Jグローバルコンサルティング株式会社 代表取締役
東京税理士会会員相談室相談委員(国際税務担当)
税理士 中川 利海(Toshimi Nakagawa)

櫻井会計事務所、KPMG税理士法人国際部を経て、2004年より株式会社AGSコンサルティング国内部にて非上場企業・上場企業に対して、経営管理支援、上場会社会計税務支援などに従事。その後、2008年に同社国際部創設、日本企業に対するアウトバウンド会計税務支援に従事。2013年に同社シンガポール事務所の創設、在シンガポール日系企業に対して、会計・税務支援、シンガポール企業に対して、対日投資支援などに従事。2016年 Jグローバルコンサルティンググループを創業し現職。2017年 東京税理士会会員相談室相談委員(国際税務担当)就任。

■Jグローバルコンサルティング株式会社
http://jglobal.co.jp/


■インタビュー
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著者: KaikeiZine編集部

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