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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:平成29年度税制改正② 仮想通貨の消費税非課税化・非永住者の課税所得の範囲の見直し

ビットコインなどの仮想通貨の譲渡については、これまでは消費税の課税取引となっていましたが、2017年7月から消費税がかからなくなりました。これにより利用者は仮想通貨を購入する際に消費税分だけ安く買えるようになります。
また、非永住者の課税所得の範囲も見直され、一定の有価証券の譲渡による所得が課税所得の範囲から除かれました。

1 仮想通貨の消費税非課税化

これまでは、仮想通貨の譲渡は消費税法上の非課税取引として規定されておらず、課税資産の譲渡等に該当していました。今年4月に施行された改正資金決済法は、これまで規定がなかった仮想通貨をプリペイトカードや商品券と同じ「支払い手段」と位置づけました。また、欧米においては仮想通貨の譲渡を非課税とする国が多いことなども踏まえ、平成29年度税制改正で、仮想通貨の取引について消費税を非課税としました。

この改正は、平成 29 年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用されます。


(注意点)


◇上記の改正前に譲り受けた仮想通貨について、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合の仕入れ区分は、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当するものとします。
◇事業者が、平成 29 年6月 30 日に 100 万円(税抜き)以上の仮想通貨(国内において譲り受けたものに限る。)を保有する場合には、同日の仮想通貨の保有数量が平成 29 年6月1日から平成 29 年6月 30 日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費税については、仕入税額控除が認められません。


■仮想通貨とは


紙幣や硬貨などの実物がなく、インターネット上でやり取りするお金のこと。円やドルなどと異なり中央銀行にあたる管理者はおらず、取引所と呼ばれる専門の事業者を通じて円などの通貨と交換します。2009年に「ビットコイン」が登場し、現在は700種類以上の仮想通貨があるとされています。日本では取引増加に伴い悪質業者による利用者の被害が問題となったことから、国内の取引所に登録制が導入されました。仮想通貨の取引には「仮想通貨交換事業者」としての登録が必要となり、財務状況や顧客資産の管理体制などを調べ財務局が登録を承認します。

2 非永住者の課税所得の範囲の見直し

平成26年度税制改正において、外国法人等に対する課税原則が「総合主義」から「帰属主義」に見直され、これに伴う規定の明確化のために、非永住者(注1)の課税所得の範囲が『国外源泉所得以外の所得及び国外源泉所得で日本国内において支払われたもの又は日本国内に送金されたもの』とされました(平成 29年分以降より適用)。 その結果、国外の取引所で行われる有価証券等の譲渡(例えばニューヨーク証券取引所で行われる株式の譲渡)等に係る所得といった「国外源泉所得」として積極的に定義されていない所得について課税所得の範囲が拡大し、高度外国人材の呼び込みの阻害要因となりうるとの懸念が生じていました。

こうした阻害要因を排除するため、非永住者の課税所得の範囲から、以下の有価証券(注2)の譲渡により生ずる所得(国内において支払われ、又は国外から送金されたものを除く。)を除外することとしました。

①外国金融商品取引所において譲渡されるもの
②国外において金融商品取引業等を営む者への売委託により国外において譲渡されるもの
③国外において金融商品取引業等を営む者の国外営業所等に開設された有価証券の保管等に係る口座に受け入れられているもの

この改正は、平成 29 年4月1日以後に行う有価証券の譲渡について適用されます。

(注1)非永住者とは、居住者うち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又居所を有していた期間合計が5年以下である個人をいいます。
(注2)過去10年以内において非永住者であった期間内に取得したもの(平成 29 年4月1日以後に取得したものに限る)を除きます。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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