タックスヘブン!?のモナコ

さて、カジノで有名な場所といえば、例えば、マカオやアメリカのラスベガスを思い浮かべる方も多いでしょう。これらには筆者も訪れたことがありますが、ラスベガスは空港にも沢山のスロットマシンが設置されています。

また、モナコのカジノもとても有名です。1297年に建国された同国は、古代フェニキア人の時代から貿易港として栄えていましたが、1789年のフランス革命で市民軍によって没収されフランスに併合されてしまいます。ナポレオン失脚後の1815年のウィーン会議においてモナコの独立が認められたものの、イタリアのサルディニア王国の保護国とされました。その後、1861年にサルディニアに占領された部分をフランスへ4億フランで割譲して独立を勝ち得ました。しかし、この際、フランスに割譲した部分はそれまでのモナコ領の95%にも及び、王宮の周りだけを残して領土のほとんどを失ってしまったのです。そこで、財政再建のために、当時の大公シャルル3世が温泉リゾートとカジノを開いて観光客を呼ぶという政策に出たというわけです。

モナコは、カジノで潤い始めた1869年から個人の所得や資産に対する課税を廃止し、現在では、付加価値税はあるものの、所得税、市民税、固定資産税、不動産取得税がなく、直系親族・夫婦間での相続には相続税がかかりません。また、モナコ中心で営業している限り(売上の75%以上がモナコ国内)法人税が減免されます。このように、富裕層にとっては天国のような国であるといってもよいでしょう。すなわち、タックスヘイブン(tax haven:租税回避地)国どころか、タックスヘブン(tax heaven:税金天国)国というわけです。

もっとも、これまで、モナコは国連加盟国でありながら日本との国交がありませんでした。それは、モナコが外国と国交を結ぶにはフランスの事前許可が必要であったためです。しかし、2006年12月には我が国と国交を結んでいます(現在、国連加盟国でありながら日本との国交がないのは北朝鮮のみ)。

さて、そのような税金天国(タックスヘブン)ともいうべきモナコとの間に、我が国は租税条約を締結しているのでしょうか。実は、締結していないのです。国交が結ばれたのですから、今後、租税条約を締結する可能性は否定できないと思われます。