ボンジュール!(こんにちは!)旅人会計人の三矢(@hideto328)です。大変ご無沙汰しております。「海外の会計人のリアルをお伝えする」というテーマで始まったこの連載、フランスの首都パリで、ようやく世界の会計人にインタビューすることに成功しました!

パリ滞在中は全仏オープンテニス観戦を楽しみました

パリの会計事務所で初インタビューに成功しました!

今回ぼくがお邪魔したのは、パリにあるコンタプリュス公認会計士計事務所です。
オフィスは、たまたまぼくが泊まっていた宿の近くにありました。歩いて向かいます。
どうやらこの建物の中にコンタプリュスさんは入居しているようです。

コンタプリュス公認会計士事務所が入居しているビル

実は、ぼくはパリの宿には合計50泊以上しているのですが、宿から歩いて行ける範囲にこのような建物が存在していることを知りませんでした。

同じ建物には富士フィルムさんも入居しているようです。

代表のマルシィアノさんと面談

今回の趣旨を簡単に説明し、早速インタビューに移ります。まず初めにフランスにおける会計士の業務についてお話を伺いました。

コンタプリュス公認会計士事務所代表のマルシィアノさん

まず、日本では会計士と税理士が分かれていますが、フランスでは分かれていないそうです。両方合わせた仕事を会計士が行うそうです。

仕事の内容に関しては、日本とフランスの法律やルールの違いを除いたら、役割、内容ともに日本と同じ。

具体的な業務内容としては、会計書類の作成とアドバイザリー・コンサルティングに大きく分けられるそうです。特にコンサルティングの比率が大きいとのこと。

クライアントのコンサルティングを行うにあたっては、会計に関する知識だけではなく、会計士のバックグラウンド、たとえば持っている知識などの資産や経験に加え、クライアントのニーズを的確に把握することが重要だといいます。

マルシィアノさんは、「会計士資格は勉強だけで取得できます。しかし実務においては法律、経済などの知識、多角的な視野を持っているかどうかが重要です」とおっしゃっていました。

また、ぼくが話を伺っていて面白いな、と思ったことに、フランスの会計士は日本と違って広い範囲で業務ができるというものがありました。

たとえば法律業務。日本で弁護士が行う業務やM&A、契約書の作成なども会計士が行うことができるそうです。弁護士との違いは、会計士は法廷に立つことはできないこと。そのため裁判になる前に法律問題を解決することも会計士の腕の見せどころのようです。

とはいえ、会計士の資格を持っていても、会計だけでなく法律に関しても詳しい知識を持っている会計士は、あまり多くはないそうです。

なお、フランスで公認会計士資格を取得するにあたっての難易度は、日本と同じくらいだそうです。資格取得が難しいこともあって、フランスにおける会計士のプレステージは高いとのこと。話の中で、「米国公認会計士よりは難しいよ」との言葉があり、米国公認会計士(USCPA-Inactive)ライセンスホルダーのぼくは、少し肩身が狭い思いをしました(笑)

日仏の会計制度などの違い

続いて話は日本とフランスにおける会計制度の違いに移りました。

マルシィアノさんがおっしゃるには、貸借対照表や損益計算書のフォーマットは日本とほぼ共通。しかし、それら財務諸表を作成するにあたっては、たとえば法人税の計算の仕方など、税制の違いが会計に影響を与えるとのことです。

また、損益計算書において「在庫(Stock)」は、日本だと期首と期末の残高を両方表示することになっていますが、フランスは在庫の増減高を表示するようなルールになっているとか。

このような違いが日本からやってきたクライアントの方々には驚かれるようです。

アウステルリッツの戦い勝利を記念した凱旋門

では、今回はこのへんで! 次回はフランスの“バカンス法”にふれながら、「会計士にもバカンスは存在するのか-パリの会計事務所インタビュー!(後編)」をお送りしたいと思います。お楽しみに!