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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:基礎から分かる移転価格税制② 移転価格税制の対象となる「国外関連者」とは

移転価格税制は、国外関連者との取引が独立企業間価格で行われていない場合、その取引が独立企業間価格で行われたとみなして課税する制度です。では、移転価格税制の対象となる「国外関連者」とは具体的にどのような者をいうのでしょうか。資本関係だけでなく、実質支配関係にある者も対象となる点に注意が必要です。

移転価格税制は、法人と国外関連者との間で行われる取引に適用されますが、国外関連者とは、外国法人のうち、法人と「特殊の関係」があるものをいいます。次の3種類の関係のいずれかがある場合は「特殊の関係」があるとされます。

(1)持株関係(親子関係、兄弟関係)

(2)実質支配関係

(3)持株関係と実質支配関係の連鎖関係

 

以下の図でA社は日本、B社は外国にあるものとし、B社はA社の国外関連者となるケースを示しています。

(1)持株関係

①親子関係
一方の法人が他方の法人の発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有する関係をいいます。

 

『A社はB社を直接に50%以上保有している。』

『A社はB社を間接に50%以上保有している。』

ここで注意すべきは。持株の要件が「50%超」ではなく、「50%以上」となっている点です。例えば、海外企業と50%ずつ出資する合弁会社との取引であっても移転価格課税を受ける可能性はあります。過去においても、ちょうど50%のケースで多額の移転価格課税を受けた事案もあります。

②兄弟関係
二つの法人が同一の者(特殊の関係のある個人を含む)によって、それぞれ発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有される関係をいいます。

『A社とB社はXによって50%以上を直接に保有されている。』

この場合Xは個人でも構いませんので、例えば日本企業のオーナーが、海外にも100%出資の子会社を設立したケースなどが該当します。これは、大企業にはあまり見られませんが、中小企業ではよく見られるケースです。

(2)実質支配関係
次に掲げるような事実があることにより、一方の法人が他方の法人の事業の方針の全部又は一部について実質的に決定できる関係をいいます。
a. 他方の法人の役員の2分の1以上又は代表権を有する役員が、一方の法人の役員若しくは使用人を兼務している者又は一方の役員若しくは使用人であった者であること(役員関係)。
b. 他方の法人がその事業活動の相当部分を一方の法人との取引に依存していること(取引依存関係)。
c. 他方の法人がその事業活動に必要とされる資金の相当部分を一方の法人からの借入又は一方の法人の保証を受けて調達していること(資金関係)。

法人を支配する形態としては、出資関係によるのが一般的です。しかし、それ以外でも役員の派遣、取引の依存、資金の提供といった形を通じて、経営の決定権を持っていたり、重要な事項について自分たちの意向に沿った形で決定できる等、法人を事実上コントロールすることもできることから設けられた規定です。

(3)持株関係と実質支配関係の連鎖関係
例えば、次のA社とB社は、持株関係又は実質支配関係によって連鎖しているので、B社はA社の国外関連者となります。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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