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“税界”の裏話 確定申告  男性の悩み「薄毛治療」「ED治療」と医療費控除

男性諸氏の中には、薄毛治療を始めている人も少なくないと思うが、治療となれば医療費控除の適用になるのか気になるところ。費用も多額になるため、医療費控除の対象になればありがたい。もうすぐ確定申告シーズンだけに、何が医療費控除の対象になるのかポイントを押さえておきたい。

1年間の医療費が、家族総額で10万円を超えた人は、確定申告することで医療費控除により税金が戻ってくる可能性がある。

医療費控除に関しては、所得税法73条に明記されており、その「医療費の範囲」については所得税法施行令第207条に示されている。勘違いしている人もいるが、インフルエンザの予防接種やマスク、花粉症対策のための空気清浄機、加湿器などは医療費控除の対象にならない。基本的に治療ではなく「予防」となると医療費控除の対象にはならないことを覚えておきたい。

そのため、医師への謝礼、メガネ、コンタクト代をはじめ、健康診断の費用も治療ではないので同様に医療費控除の対象にはならない。ただ、健康診断で重大な病気が見つかった場合は医療費控除の対象になることもあるので、税務署に確認するとよい。

さて、年齢とともに多くの男性が直面するのが薄毛問題。加齢と共に髪の毛は細くなり、平均寿命が延びた分、抜け落ちていく髪の毛を気にすることになる。最近では、メンズクリニックで治療する男性諸氏も多くなり、著者も友人から治療費をはじめ処方されるAGA(男性型脱毛症)治療薬について、医療費控除の対象になのか聞かれることも少なからずある。自分自身も、そんな年齢になってきたことを実感させられる瞬間だが、結論から言って、AGA治療は病院で医師に処方してもらった場合は、控除対象になる可能性が高い一方で、薬局でリアップなどの育毛剤を購入しても医療費に含めることは難しい。つまり、医療費控除の適用を受けたい場合は医師から処方してもらうことが不可欠なのだ。

育毛関連では、植毛やかつらの購入費はほとんどが美容目的なので医療費控除の対象外と考えたほうがよい。

メンズクリニックに通院される人は、何もAGA治療だけではない。男性特有のED(Erectile Dysfunction)治療も目立つ。EDはさまざまな疾患に起因するものが多く、ほかの薬品との飲み合わせによっては、命に関わる可能性もあるため、医師の診断が不可欠になる。そのED治療薬だが、一時的にEDを改善するためのものであり、病気を根本的に治療する薬ではないため医療保険は適用されない。価格は病院によりばらつきがあるものの、1錠がかなりの値段だ、年間を通して継続的に使用すれば、購入費用はかなりのが額になる。そもそもED治療薬に同控除は適用できるのだろうか。これについて当局は「医薬品として認可を受けたEDの治療薬は、医者の診察を受けて処方されたものに限り適用できる」としている。つまり、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどの治療薬は、医者から処方されたものに限って同控除が受けられるわけだ。もちろん、医師による診察料も控除対象となる。

なお、医療費控除を適用を受けようと確定申告をする場合、従来は領収書の添付が不可欠だったが、平成29年分以後は、領収書に代わり「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付することになった。医療保険者から交付を受けた「医療費通知」がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略することも可能。ただし、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限の翌日から起算して5年を経過する日までの間は医療費の領収書を保管しておく必要がある。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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