国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

思わぬ落とし穴も? 海外の中古不動産投資には細心の注意を!

サラリーマンでも自営業者でも、所得が増えると節税対策に目が向く。最近では、海外の中古不動産を買って賃貸に出し、節税を図る人も多い。しかし最近、この節税策に会計検査院が待ったをかけた。

■会計検査院の指摘

会計検査院は、国の会計を検査したり、税金の無駄使いをチェックしたりする機関。その会計検査院が、内閣に提出した2017年11月の検査報告で、財務省に対し、海外の中古建物の減価償却について、有効性や公平性の観点から見直すよう求めたのだ。

海外不動産を購入する節税スキームは、わが国の所得税法上の不動産所得の性質を利用したもの。不動産所得は一定の場合を除き、損失額を給与所得や事業所得など他の所得金額から差し引くことができる。つまり損失額が大きければ、その分だけ節税になるわけだ。ここでポイントになるのが「必要経費」。不動産所得は、その貸付けによる賃貸収入から必要経費を差し引いた金額とされているため、必要経費が収入を上回れば損失が生じ、不動産所得はマイナスになる。

この必要経費には、建物等の減価償却費も含まれることから、減価償却費をできるだけ多く計上できれば、不動産所得に大きな損失が生じ、給与所得等と相殺して所得税額などを減額することが可能になるわけだ。
会計検査院の検査報告で指摘があると、財務省はその後の税制改正で対応策を盛り込むことが多く、今後の動向に注視したい。

■中古建物の減価償却費の計算方法

中古建物の購入が、なぜ効果的な節税策になるのかを理解するには、まず不動産の減価償却の計算方法を知る必要がある。建物の法定耐用年数は、木造の耐用年数が22年、レンガ造り、石造り、ブロック造りは38年、鉄筋は47年となっている。
一方で中古建物の耐用年数は、法定耐用年数に代えて、簡便法といわれる計算方法を用いることができる。計算方法は、法定耐用年数の一部を経過している中古物件なら、法定耐用年数から経過年数を引き、その年数にさらに経過年数の20%を足して計算することになっている。また、法定耐用年数を全部経過した中古物件なら、法定耐用年数の20%で計算する。つまり、簡便法を用いた場合の中古物件の耐用年数は、新築よりかなり短い年数となり、短期間で多額の減価償却費を計上できることが可能になるわけだ。

■なぜ海外の不動産なのか?

 海外の不動産であれ日本国内の不動産であれ、現状は前述通りの耐用年数の計算方法で行われる。中古物件と言う点だけでは、どちらを購入しようと代わりないわけだ。
 では、なぜ海外の中古物件かというと、日本の中古物件と大きく違う特徴があるからだ。日本人の新築好きは世界的に有名で、住宅を、ちょっと古くなるとすぐ取り壊しては、新しく住宅を建て直すということを繰り返してきた。一方外国では、築50年、100年の住宅が立派に市場に出まわっている。きれいにメンテナンスすれば、市場価値を減少させることなく、維持できるという考え方が普及しているからだ。
 また、新築が多い日本の状況とは対照的に、市場で取引される不動産の多くは中古であり、不動産の建物評価額も高い。日本では、新築マンションでも買って1日住むと30%価格が下がったり、木造住宅では、築20年もすると建物評価額はゼロで、土地価格だけで取引されていたりする。
 不動産価値が下がらないということは、将来的な売却という出口戦略を考える上で重要な要素となる。つまり、不動産物件としての価値が日本の中古物件より高く、圧倒的に海外不動産のほうが有利になるというわけだ。

■おわりに

会計検査院の指摘をきっかけに、海外不動産の減価償却が見直される可能性が高い。海外不動産は、外国事情に通じた不動産専門家の指導を受ける必要がありコスト高の面もあるだけに、これから海外不動産の投資を検討しているのであれば、多方面から細心の注意を払って望んでいただきたい。

著者: KaikeiZine編集部

KaikeiZine

租税調査研究会が監修する税金・会計の総合ニュースメディアです。税金・会計に関するさまざまなニュースを、わかりやすくお届けします!
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

ページ先頭へ