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“税界”の裏話 ロシアW杯 侍ジャパン報奨金の税金はいくら? 

ロシアワールドカップ(ロシアW杯)2018の決勝トーナメントをかけたグループリーグH第3節、日本代表とポーランド代表戦が6月28日開催される。日本代表が決勝トーナメント進出を決めれば、2010年南アフリカ開催以来となるが、ベスト16以上なら、FIFAから1200万ドル(約14億円)以上の報奨金を受け取ることになる。選手一人が受け取る報奨金は定かでないが、報奨金には税金がかかるのだろうか。

日本は現在グループHの首位。6月28日のポーランド戦に引き分け以上で決勝トーナメント進出が決定。仮に負けてもセネガル対コロンビアの結果次第で勝ち抜けの可能性もある。いずれにせよ引き分け以上が必要だ。

このコラムは、サッカーの批評をするところではないので、願いを込めて決勝トーナメントに進出したと仮定して、報奨金と税金問題に触れてみたい。税金の専門家ならば、お察しのことだと思うが、W杯の報奨金は、オリンピックと異なり課税対象だ。(財)日本オリンピック委員会(JOC)など、一定の競技団体からの報奨金は非課税となっている。法律で定めており、所得税法9条1項第14項に「オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であって政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの」については、所得税を課さないとされている。政令で定めるものとは、所令28条に「文部科学大臣は、前項の規定により一般社団法人又は一般財団法人を指定したときは、これを告示する」とあり、その団体を告示にて指定している。その告示は平成22年文部科学省告示第66号で、社団法人全日本アーチェリー連盟を筆頭に全30団体を指定。非課税額については、日本オリンピック委員会や日本障害者スポーツ協会の非課税額と同額で、平成22年財務省告示第102号に、非課税限度額として金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円までだ。

W杯の報奨金に関しては、法律に明記されていないので課税対象になるわけだが、それでは、選手にとってどのような税金になるのだろうか。プロスポーツ選手の場合は、年棒等は事業所得となり、所属チーム以外からの臨時的な報奨金についても事業から派生して生じたものとして「事業所得」になる。

このあたり、プロスポーツ選手とアマチュアスポーツ選手との違いだ。アマチュアスポーツ選手ならば、企業の従業員として雇用関係のある人であれば、勤務先からの報奨金であれば「給与所得」。勤務先以外からの報奨金なら「一時所得」になる。また、企業などに属さないフリーの選手なら「一時所得」となる。

今回のロシアW杯の報奨金については、FIFA(国際サッカー連盟)は分配金として過去最高額となる7億9100万ドル(約900億円)となることを発表している。

この900億円のうち、約半分が成績に応じてチームに分配され、残りは大会準備費や選手を派遣するクラブへの補償などに充てられる。

ちなみに優勝したチームには約43億円、準優勝チームには約32億円だ。

優勝 3800万ドル(約43億円)
準優勝 2800万ドル(約32億円)
3位 2400万ドル(約28億円)
4位 2200万ドル(約25億円)
ベスト8 1600万ドル(約18億円)
ベスト16 1200万ドル(約14億円)
出場 800万ドル(約9億円)
準備金 150万ドル(約2億円)

グループリーグで敗退しても、出場による賞金約9億円とワールドカップへの準備金が約2億円。つまり、日本代表はすでに約11億円を獲得しているわけだ。決勝トーナメントに進めば、最低でもさらに14億円以上の賞金が獲得できるので、これは選手や監督もやる気が出るだろう。

選手が得られる報奨金について筆者は情報収集できていないが、優勝なら報奨金として男子の場合は1人5千万円程度用意していると言われている。また、戦績に応じても各選手へのボーナスが上乗せされるようだ。
ちなみにベスト16進出を果たした2010年南アフリカW杯では、日本代表選手23人に対して1千万円以上が支払われたとも言われている。

報奨金については、スペイン代表は優勝した場合、選手1人につき80万ユーロ(約1億円)の報酬を出すとしている。ドイツ代表はW杯で連覇を成し遂げた場合、ドイツサッカー協会(DFB)から選手1人当たり35万ユーロ(約4500万円)を受け取ることになっている。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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