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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:非居住者② 「住所」の判定基準

居住者とは、「国内に住所を有し、又は、現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」をいい、非居住者とは、「居住者以外の個人」をいいます。実務上はこの「住所」がどこにあるかが極めて重要です。

1 「住所」とは

居住者か非居住者かを判定する上で、「住所」がどこにあるかは極めて重要です。

所得税法では「住所」について特に定義されていないため、民法上の「住所」の概念を借用し、所得税基本通達2-1(住所の意義)において、「法に規定する住所とは、各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。」とされています。

「客観的事実」については、以下の事項を総合的に勘案して判定することとなります。

・その者の住所(住民票の所在地)はどこか

・どこで職業に就いているか

・生計を一にする配偶者や親族の居所はどこにあるか

・資産はどこに所在するか 等

 

2 「居所」とは

「居所」については所得税法や所得税基本通達にも定義されていませんが、「居所」とは、一般的に「相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接でないもの、すなわち、そこがその者の生活の本拠であるというまでには至らない場所」をいうものとされています。例えば、来日外国人が、日本でホテル住まいをしている場合には、そのホテルが居所になると考えられます。

3 住所の推定

実務上は客観的事実に基づいて「住所」の判定することが困難なケースも想定されることから、所得税法施行令に「住所の推定」規定が設けられています。海外勤務者の場合などは、この推定規定に基づいて判断することが多いといえます。

 

(1)国内に住所を有すると推定する場合(所令14)

イ その者が国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。

ロ その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。

 

(2)国内に住所を有しないと推定する場合(所令15)

イ その者が国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。

ロ その者が外国の国籍を有し、又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。

 

(3)職業を有している場合には、その地における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、「継続して1年以上居住するもの」として扱われます(所基通3-3)。

したがって、

○日本で勤務するため来日した場合は、日本での勤務期間が辞令や出向契約書等で1年未満となっている場合を除き、入国の日の翌日から日本の居住者と扱われます。

○海外で勤務するため出国した場合は、海外での勤務期間が辞令や出向契約書等で1年未満となっている場合を除き、出国日の翌日から非居住者と扱われます。

 

実務上、従業員を海外に派遣する場合には、海外勤務期間を明示した辞令や出向契約書を作成し、居住者・非居住者の判定が曖昧にならないような準備が必要といえます。

 

【参考】居住者や非居住者となる場合の起算日は?

出入国によって、居住者や非居住者となる場合における起算日については、次の通り取り扱われています。

  • 居住者が出国して非居住者となる場合には、出国の日までが居住者となり、出国の日の翌日から非居住者となります(所基通2-4の3)。
  • 入国した場合の居住期間の計算の起算日や居住者となる日は、入国の日の翌日となります(所基通2-4)

 

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租税調査研究会事務局
tax@zeimusoudan.biz

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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