宿泊客への説明責任や稼働率が低い旅館への対応、日本人と外国人観光客を区別しない点など、まだまだ課題は山積しているみたい。

大阪府の「宿泊税」が苦戦している。
宿泊税は、ホテルや旅館の宿泊客に自治体が課税する法定外目的税。
急増する外国人観光客への「おもてなし」策の向上を目的とし、
交通機関や観光ガイドブックなどの多言語対応や、観光案内所の増設、無料WiFiの拡大、ボランティアガイドの育成などに充てられるのだそう。
東京都の石原慎太郎元知事が2002年度に導入したのが最初で、大阪府は2例目。2017年1月の導入前は年間10億円程度の税収を見込んでいたのだが、フタを開けてみると初年度の税収は「想定の7割程度」だった。
まさかの試算誤り。宿泊単価は予約状況により変動するため試算は難しいとされているが、こんなにズレるとは…。
貧乏くじを引いたのは、徴収役を押し付けられる恰好となったホテルや旅館だ。
業界をあげての大反対も空しく、東京都の成功に煽られるように導入が決まった経緯がある。
一方で、先行組である東京都の宿泊税収は過去最高を更新し続けている。
のど元過ぎれば熱さ忘れる——。
東京都が宿泊税を導入する際にも業界から非難囂々だったが、
今となってはもう遥か昔から存在しているかのように鎮座している。
大阪府はどうだろう。
宿泊客への説明責任や稼働率が低い旅館への対応、
日本人と外国人観光客を区別しない点など、
まだまだ課題は山積しているみたい。
ホテル業界からは「外国人観光客の『爆買い』で潤う量販店に課税すべき」といった意見も出ているそうな。
今年10月には京都市も導入を予定しているほか、北海道や金沢市も導入を検討している宿泊税。
商人の街「大阪」が、新税とどう折り合いを付けていくのか注目したい。