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弥生×会計人

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第3章 弥生を変えるため、社長就任

岡本社長誕生

宮口編集長
岡本社長と弥生の出会いについてお聞きかせください。お聞きしたところによると岡本社長は個人で経営コンサルティング会社を立ち上げ、仕事で弥生に携わった。そのとき「ビビっときた」と、他のインタビューでお答えになっていました。弥生という会社のどのあたりに惹かれたのでしょうか。
岡本社長
正確にお話ししますと、2007年9月に弥生株式会社はライブドア傘下から投資ファンドの傘下へ入りました。私はその投資ファンドから依頼を受け、コンサルタントとして参加しました。これが私と弥生が出会ったきっかけです。
宮口編集長
コンサルタントとして参加したことで弥生に興味関心が高まった?
岡本社長
そうです。先ず、従業員が何を考えているのか知りたくて50人ほどにインタビューしました。その結果、従業員に対して強く感じたことは「すごく真面目な人たちだ」ということです。彼らは「お客様に対してやるべき事があるのに現状ではできていない」と思い悩んでいました。
宮口編集長
あまりいい状況ではないですね。
岡本社長
はい。必ずしも健全とは言えない状況でした。危機感を持った投資ファンドから経営者にならないかと打診されました。
宮口編集長
大きな決断を迫られましたね。
岡本社長
あのときは「やらなければいけない」という義侠心のようなものが芽生えていました。株主の期待にも応えたいし、何より従業員のためにも頑張りたいと思えたことが引き受けた理由ですね。

弥生の新たな船出に立ちふさがる課題

宮口編集長
弥生という会社の経営を正直、「できる」と思いましたか。
岡本社長
できるのであれば自分しかいないと思っていました。弥生の歴史を振り返ると、最初の10年は「モノづくりの会社」で、次の10年は「合理的に経営する会社」だったと思います。

その結果、私が弥生を引き継いだときは「モノづくり色」が少し薄れていました。とくに悩んでいたのは開発のメンバーです。このタイミングでは、モノづくりの視点を持ちながらロジカルに経営を行える経営者が必要となります。しかし、当時はそのような経営を行える人材は多くはいませんでした。

私は大学卒業後、某証券系の研究所でシステムの開発者としてキャリアをスタートさせています。そのため、開発者のモノづくりへの想いを自分事として感じていました。

宮口編集長
「開発者を大切にしなければいけない」と考えた?
岡本社長
そうです。モノづくりの会社は、開発者が仕事を楽しめなければダメだと思うんです。その開発者たちが会社の方向性などに思い悩んで仕事を楽しめていないのであれば、まさに何かを変えなければいけないタイミングだったと思います。
宮口編集長
会社の方向性を示すことで課題はクリアされたのでしょうか。
岡本社長
はい。会社の方向性を明確に示すことで課題は徐々に改善していきました。
宮口編集長
明確にした方向性とはどのようなものでしたか。
岡本社長
「われわれのお客様は日本の中小企業、個人事業主、起業家だ」と顧客を明確にしました。さらに、「会計事務所など多くのパートナーの力を活かし、あらゆるニーズお応えする『事業コンシェルジュ』に向けて何ができるのかを考えよう」という方針も打ち出しました。

弥生の経営者として必要だったこと

宮口編集長
弥生の社長に就任してから、とくに心がけたことはありますか。
岡本社長
私は現場主義なので、それを実践しました。開発の責任者として開発の現場に徹底的に拘りました。同時に、会計事務所向けのカンファレンスにも全て参加していますし、家電量販店の店頭にも立ちます。
宮口編集長
岡本社長が「店頭に立つ」と言ったら社員は驚きませんでしたか。
岡本社長
驚いたようです。当初「店頭に立たせてくれ」と社員へスケジュール調整をお願いしても、彼らはなかなか調整してくれないんです。おそらく「形だけのやる気を見せているだけで、本当に量販店の店頭に立つことはないだろう」と半分冗談として聞いていたのでしょう。それでも、私が何度も言うものだから、ようやく店頭に立つスケジュールを調整してくれました。
宮口編集長
岡本社長になってから弥生と会計事務所との距離が縮まったように思います。
岡本社長
そう言っていただけると嬉しいですね。ここ数年掛けて会計事務所を支援する体制を強化していますし、私も会計事務所とのコミュニケーションを大切にしてきました。これまでは、弥生の社長が会計事務所に出かけることはあまりなかったようです。現場は現場で、といったことを私は気にしない主義なので、それがいい方向に進んだのではないでしょうか。

岡本 浩一郎(おかもと こういちろう)

弥生株式会社 代表取締役社長

1969年横浜市生まれ。東京大学工学部卒業。野村総合研究所(NRI)入社。システムエンジニアとして証券系システムの開発、マーケティングなどに従事。プロジェクトマネージャーとしてWindowsベースの基幹システム開発ツールの商品化にも携わる。在籍中の97年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校で経営大学院を修了。98年、ボストンコンサルティンググループの経営コンサルタント、2000年、IT戦略に特化した経営コンサルティング会社を設立。08年4月、弥生の代表取締役社長に就任。

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