定義の確認
JSOX(内部統制報告制度)において「不備」がどのように整理されるかを適切に理解するために、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」(内部統制基準)における各用語の正確な定義を確認したいと思います。
内部統制基準において、「財務報告に係る内部統制」とは、財務報告の信頼性を確保するための内部統制をいい、「財務報告に係る内部統制が有効である」とは、当該内部統制が適切な内部統制の枠組みに準拠して整備及び運用されており、当該内部統制に開示すべき重要な不備がないこととされています。また、「財務報告」とは、財務諸表及び財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等に係る外部報告と定義されており、「外部に報告」される、「財務」に関連する開示事項が対象とされています。よって、内部的な報告、財務に関連しない事項は JSOX(内部統制報告制度)の対象となりません。
JSOX(内部統制報告制度)においては、すべての検出された不備が最終報告書に記載されるわけではなく、重要な不備のみが記載されます。これを「開示すべき重要な不備」といいます。「開示すべき重要な不備」は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い財務報告に係る内部統制の不備とされています。
「不備」等の報告
財務報告に係る内部統制の評価の過程で識別した内部統制の不備(開示すべき重要な不備を含む。)は、その内容及び財務報告全体に及ぼす影響金額、その対応策、その他有用と思われる情報とともに、識別した者の上位の管理者等適切な者にすみやかに報告し是正を求めるとともに、開示すべき重要な不備(及び、必要に応じて内部統制の不備)は、経営者、取締役会、監査役等及び会計監査人に報告する必要があります。なお、開示すべき重要な不備が期末日に存在する場合には、内部統制報告書に、開示すべき重要な不備の内容及びそれが是正されない理由を記載しなければなりません。



