内部統制の限界
内部統制は、次のような4つの固有の限界が内部統制基準に記載されています。
(1)内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合
内部統制は相互牽制によるチェックによりエラーの発生を回避する効果を期待しているため、「複数の担当者による共謀」があると、内部統制自体が無効化されてしまいます。
(2)内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合
内部統制は日常的に発生する定型業務について業務フローを標準化することで相互チェックが実施されるように「事前」に手続きを周知することでエラーの発生を回避する方法がとられます。そのため、新しい業務やイレギュラー取引については業務フロー(相互チェック体制)が決まっていない場合があり、十分な相互チェックが実施できない場合があります。
(3)内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる
内部統制による相互チェックは回数が多いほど最終的な成果物にエラーが含まれるリスクは抑制できると考えられます。一方、相互チェックの回数が多いほど業務効率は悪化します。そのため、実務においては、より高い効果が期待できる相互チェックを適用し、内部統制の導入における費用を最小限とする工夫が必要となります。
(4) 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある
内部統制は経営者が整備するものとなります。内部統制を構築する本人であることから、内部統制は経営者不正に対しては、効果に一定の限界があるといわれています。



