確定申告は、多くの書類を集めて記入もしないといけないので、面倒だと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし最近は、パソコンさえあれば確定申告が完結できます。この記事では、そのやり方をわかりやすく解説します。
この記事の目次
パソコンで確定申告を行う方法は2つ
パソコンで確定申告を行う場合、以下のような2つの方法があります。
- 確定申告書を作成するところまでパソコンで行う
- 確定申告書の作成から提出までパソコンで行う
パソコンを利用して確定申告書を作成すれば、画面の案内に沿って入力するだけで自動計算されるため、ご自身で計算する手間が省けます。
それぞれの方法について詳しく解説していきます。
パソコンで確定申告書を作成し、その後郵送・持参する
パソコンで確定申告書を作成し、提出するためには、マイナンバーカードやICカードリーダライタなどが必要となります。
つまり、確定申告書の提出のためだけに他の備品が必要になるわけです。
しかし、パソコンで確定申告書を作成するだけであれば、これらの備品を準備する必要がないというメリットはあります。
パソコンで確定申告書を作成し、提出する
パソコンで確定申告書を作成し、そのまま提出するためには、e-Taxを利用する必要があります。
e-Taxを利用すれば、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から、申告書の作成・送信が可能です。
マイナンバーカードを使用してマイナポータルと連携すれば、医療費やふるさと納税等の情報を取得でき、取得したデータは申告書に自動入力されるので、作成の手間がかかりません。
e-Taxで申告書を送信する場合は、添付書類の提出⼜は提⽰が省略できるのに加えて、書⾯で提出する場合に⽐べて、還付⾦を早く受け取れるというメリットもあります。
さらに令和4年からは、パソコンの画面上に表示される2次元バーコードをスマホで読み取ることによって、ICカードリーダライタを使用せず、マイナンバーカード方式によるe-Tax送信ができるようになるなど、パソコンで確定申告書の作成・提出がますますしやすくなっています。
e-Taxで確定申告をするメリットとは
パソコンで確定申告をするなら、e-Tax(電子申告)が便利です。
e-Taxとは、申告などの国税に関する各種の手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続きを行えるシステムのことを言います。
e-Taxを利用して申告書を提出すれば(申告を行えば)、多くのメリットを享受できます。
以下では、e-Taxを利用するメリットを4つ紹介していきます。
青色申告ならe-Tax利用で控除額が10万円分増える!
令和2年の所得税確定申告から、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、パソコンを使い、e-Taxで確定申告書・青色申告決算書等のデータを提出(送信)することが要件となっています。
青色申告で65万円の青色申告特別控除を受けるための要件は、次のとおりです。
時期 | 令和元年分 確定申告まで |
令和2年分 確定申告から |
65万円特別控除の要件 | 1. 正規の簿記の原則で記帳 (複式簿記) 2. 申告書に貸借対照表と 損益計算書などを添付 3. 期限内申告 |
左記に加えて以下が必要 e-Tax による申告(電子申告) または 電子帳簿保存 |
このように、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、ご自宅等のパソコンにより、e-Taxで確定申告書・青色申告決算書等のデータを提出(送信)しなければなりません。
令和元年分確定申告までの要件で令和2年分以降の確定申告を行った場合、控除額は55万円までとなってしまいます。
そのため、e-Taxを使用した申告で控除額は10万円アップするのです。
なお、e-Taxを利用した確定申告の大まかな利用の流れは次のとおりです。
- マイナンバーカードを取得する
- IC カードリーダライタ又はスマートフォンを用意する
※ マイナンバーカードの読み取りに対応した IC カードリーダライタ又はスマートフォンが必要です - 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」へ確定申告書・青色申告決算書等のデータを作成し、送信する
提出書類を一部省略できる
確定申告書の提出をe-Taxで行う場合、次に掲げる第三者作成書類については、その記載内容を入力して送信することにより、これらの書類の税務署への提出又は提示を省略することができます。
【対象となる第三者作成書類】
- 給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
- 個人の外国税額控除に係る証明書
- 雑損控除の証明書
- 医療費通知(医療費のお知らせ)(注1)
- 医療費に係る使用証明書等(おむつ証明書など)
- セルフメディケーション税制に係る一定の取組を行ったことを明らかにする書類(注2)
- 社会保険料控除の証明書
- 小規模企業共済等掛金控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 地震保険料控除の証明書
- 寄附金控除の証明書
- 勤労学生控除の証明書
- 住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 特定増改築等住宅借入金等特別控除(バリアフリー改修工事)に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 特定増改築等住宅借入金等特別控除(省エネ改修工事等)に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 特定増改築等住宅借入金等特別控除(多世帯同居改修工事)に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 政党等寄附金特別控除の証明書
- 認定NPO法人寄附金特別控除の証明書
- 公益社団法人等寄附金特別控除の証明書
- 特定震災指定寄附金特別控除の証明書
(注1)令和3年分以降の所得税より、「医療費控除の明細書」に入力して送信することにより、税務署への提出又は提示を省略することができます。
(注2)平成29年分から令和2年分の所得税において、「セルフメディケーション税制の明細書」に入力して送信することにより、税務署への提出又は提示を省略することができます。
(注3)平成31年4月1日以後、次の書類については、申告書の提出の際に提出又は提示が不要となりました。
- 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
- オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書、配当等とみなされる金額の支払通知書、上場株式配当等の支払通知書
- 特定口座年間取引報告書
- 未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
- 特定割引債の償還金の支払通知書
- 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例における相続税額等を記載した書類
(引用元: https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/kakutei/tempu01.htm)
なお、入力内容を確認するため、必要があるときは、原則として法定申告期限から5年間、税務署等からこれらの書類の提示又は提出を求められる可能性がある点に注意してください。
確定申告で添付が必要なくなったからといって、書類を破棄してしまわないようにしましょう。
この求めに応じなかった場合、これらの書類については、確定申告書に添付又は提示がなかったものとして取り扱われます。
確定申告が簡単にできる
パソコンを利用して、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから確定申告を行うと、画面の案内に従って金額等を入力すれば、税額などが自動的に計算でき、計算誤りのない申告書を簡単に作成できます。
さらに令和3年1月から、マイナポータルと連携することによって、控除証明書等の情報を一括取得し、該当の各控除欄に金額等が自動入力されるようになっています。
つまり、パソコンを利用することで、より簡単に確定申告ができるのです。
還付金を受け取るまでの期間を短縮できる
パソコンを利用し、e-Taxを使って確定申告を行うと、通常よりも還付金を早く受け取れる可能性があります。
e-Taxを利用して1~2月に申告しておくと、還付金が受けられる場合は申告後2~3週間程度、3月に申告すると申告後3~4週間程度で、還付金が支払われることが多いようです。