確定申告は、決められた期限までに行わなければなりません。期限までに行わなかった場合は、罰則の適用を受ける可能性があります。この記事では、確定申告を忘れてしまうとどうなるかを詳しく解説します。
この記事の目次
確定申告を忘れると無申告状態になる!
確定申告を忘れた場合、申告をしていない、つまり、無申告の状態となります。
ここからは、確定申告を期限までにせず、無申告だった場合、どうなるのかを詳しく説明していきます。
なお、所得税の納税期限は確定申告書の提出期限と同じ日です。
確定申告はいつからいつまで?
所得税法上、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を申告しなければなりません。この申告期間も定められていて、毎年2月16日から3月15日までの間と決まっています。
この期間に確定申告を行なって、所得税を納付しなければなりません。
令和4年度分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和5年2月16日(木)から3月15日(水)までです。
期限後に申告しても大丈夫?
確定申告は原則として法定期日までに行われる必要があります。
法定期日後に確定申告を行った場合、無申告加算税や延滞税の支払いも必要です。
期限後に申告する場合は罰則が課されることになるので注意してください。
確定申告をしなかった場合に起こること
確定申告をしなかった場合は、無申告となります。
無申告者には調査が行われることがあるため注意してください。
無申告者に対する国税庁の認識としては次のように示されています。
「無申告は、申告納税制度の下で⾃発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、更なる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています」
(引用元:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf)
所得税無申告者に対する調査状況についても公開されており、次のような調査結果が得られています。
<所得税無申告者に対する調査状況(令和2年度)>
実地調査(特別・一般) | 2,993 件(前年度7,328件) |
1件当たりの申告漏れ所得⾦額 | 2,565 万円(同2,160万円) |
申告漏れ所得⾦額の総額 | 768 億円(同1,583億円) |
1件当たりの追徴税額 | 292 万円(同237万円) |
追徴税額の総額 | 87 億円(同174億円) |
(参照元:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf)
延滞税がかかる
税金が定められた期日までに納付されない場合、原則として法定納期限(3月15日)の翌日から納付した日までの日数に応じ、自動的に利息に相当する延滞税が課されます。
具体的には、次のような場合に延滞税が課されることになります。
- 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しない場合
- 期限後申告書または修正申告書を提出し納付しなければならない税額がある場合
- 更正または決定の処分を受けたており納付しなければならない税額があるとき
1〜3のいずれの場合であっても、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が課され、さらに納付もしなければなりません。
なお、延滞税は本税だけを対象に課されるものなので、加算税などに対して課されることはありません。
無申告加算税がかかる
確定申告をしなかった場合、無申告加算税が課されます。
各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額です。
過少申告加算税がかかる可能性がある
納める税金が少な過ぎた場合や、還付される税金が多過ぎた場合には、過少申告加算税が課される可能性があります。
具体的には、税務署の調査を受けたあとで修正申告を行ったり、税務署から申告税額の更正を受けたりした場合に、新たに納める税金のほかに過少申告加算税の納付が必要です。
過少申告加算税の金額は、過少申告をしていることが分かり、あらたに収めることになった納税額の10%相当額となります。
重加算税がかかる可能性がある
無申告加算税が課されるケースでは、重加算税がかかる可能性があります。
特に、納税者がその国税の課税標準等もしくは税額等の計算の基礎となる事実の全部または一部を仮装・隠蔽し、その仮装・隠蔽したところに基づいて期限内申告書の提出をせず、または期限後申告書を提出したときは、無申告加算税の基礎となる税額の40%に相当する重加算税が課せられますので注意してください。
青色申告特別控除が10万円になる
青色申告を行っている方について、法定申告期限内に青色申告書を提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円(令和元年以前は最高65万円)を控除することが可能です。
法定申告期限内に提出していることが要件となっているため、この要件を守らなかった場合、青色申告控除の最低金額である10万円の控除しか受けられなくなります。
つまり、法定申告期限内に青色申告をしなかった場合には、納めるべき税金が増えることになります。