個人事業主やフリーランスの場合、会社が源泉徴収票を発行してくれるわけではないので、自ら確定申告を行う必要があります。この記事では、確定申告を行う際の必要書類をケースごとに解説していきます。
この記事の目次
確定申告の提出時に必要な添付書類とは
確定申告の提出時に必要となる添付書類は、大きく分けると個人事業主であるか、会社員であるか、年金受給者であるかによって異なります。
ここでは、それぞれのケースに合わせて必要な添付書類について解説していきます。
個人事業主やフリーランスが確定申告するときの必要書類
個人事業主やフリーランスが確定申告する場合、青色申告を行っているか、白色申告を行っているかによって必要書類が異なります。
青色申告を行う際に必要な書類
青色申告によって確定申告をする場合には確定申告書Bと青色申告決算書の2種類の書類を提出する必要があります。
青色申告決算書(貸借対照表及び損益計算書を中心として、売上や仕入などの内訳や合計額を記載します)を、確定申告書Bに添付して、確定申告期限内に提出しなければなりません。
なお、原則として新たに青色申告を申請して確定申告を行う場合には、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
白色申告を行う際に必要な書類
白色申告によって確定申告をする場合には確定申告Bと収支内訳書の2種類の書類を提出する必要があります。
収支内訳書には、収入や経費の額、売上先や仕入先の内訳、経費に関する内訳を記載します。
収支内訳書を確定申告書Bに添付して、確定申告期限内に提出しなければなりません。
会社員が確定申告するときの必要書類
会社員の方であれば、会社が代わりに納税額の計算を行う年末調整があるため、基本的には確定申告をせずとも済みます。
しかし、以下の表で示すような場合には、自ら確定申告を行った方が得をする可能性があります。
医療費控除を受ける方 | 医療費控除の明細書、医療費通知(原本) [注]経過措置により明細書を添付せずに医療費の領収書の添付又は提示によることもできます。 |
社会保険料控除を受ける方 | 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書等 |
小規模企業共済等掛金控除を受ける方 | 支払った掛金額の証明書 |
生命保険料控除・地震保険料控除を受ける方 | 保険会社等が発行する支払額などの証明書 |
寄附金控除を受ける方 | 寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証 |
※ 給与所得者が既に年末調整で控除を受けている場合は不要です
年金受給者が確定申告するときの必要書類
年金受給者の方で、年金の受取額が400万円以下で、かつその他副収入(雑所得など)が年間20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。
しかし、上記のケースに当てはまらない場合や、各種控除の対象となる場合には、以下のような書類の提出が必要となります。
たとえば、不動産所得のような所得があるケースなどは、公的年金以外の収入があるケースに該当します。
確定申告を行う必要があるケース | 提出が必要となる書類 |
年金受給者が各種控除申請するケース | ・確定申告書 ・本人確認書類(マイナンバーカード) ・各種控除に必要な書類 |
公的年金以外の収入があるケース | ・確定申告書 ・本人確認書類(マイナンバーカード) ・報酬支払調書 |
各種控除申請に必要な書類
各種控除を受けたい場合には、それぞれ控除の種類に応じて必要な書類が異なります。
以下の表が控除の種類と必要書類についてまとめたものです。
種類 | 控除を受けられる場合 | 必要書類 |
雑損控除 | 災害や盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた | ・火災は消防署 ・盗難は警察が発行する被害額届出用の証明書 ・災害等に関連して支出した金額についての領収書 など |
医療費控除 | 一定額以上の医療費等の支払がある | ・医療費の明細書 ・医療費の領収書 ・健康保険の医療費通知 |
セルフメディケーション税制 | 一定額以上の医療費等の支払がある | ・セルフメディケーション税制の明細書 |
社会保険料控除 | 健康保険料や国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料などの支払がある | ・社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済法の共済契約に係る掛金、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金、心身障害者扶養共済制度に係る掛金の支払がある | ・小規模企業共済掛金払込証明書 |
生命保険料控除 | 新(旧)生命保険料や介護医療保険料、新(旧)個人年金保険料の支払がある | ・その支払金額を証する書類 |
地震保険料控除 | 地震保険料や旧長期損害保険料の支払がある | ・その支払金額を証する書類 |
寄附金控除 | 国に対する寄附金やふるさと納税(都道府県・市区町村に対する寄附金)、特定の政治献金などがある | ・その支払金額を証する書類 |
寡婦・寡夫控除 | あなたが寡婦又は寡夫である | ・扶養控除等(異動)申告書 |
勤労学生控除 | あなたが勤労学生である | ・扶養控除等(異動)申告書 |
障害者控除 | あなたや控除対象配偶者、扶養親族が障害者である | ・身体障害者手帳 ・愛の手帳 ・精神障害者保健福祉手帳 ・戦傷病者手帳 ・障害者控除対象者認定書(65歳以上対象) |
配偶者控除 | 控除対象配偶者の場合、最大38万円の控除 ※控除を受ける納税者本人の合計所得金額、および控除対象配偶者の年齢により異なります |
(確定申告書に記載) |
配偶者特別控除 | 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合、38万円
※控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて変わります |
(確定申告書に記載) |
扶養控除 | 控除対象扶養親族が、一般の控除対象扶養親族の場合、38万円 ※扶養親族の年齢、同居の有無等により金額は変わります |
(確定申告書に記載) |
基礎控除 | 48万円の控除 (所得が2,400万円以下の場合) ※納税者本人の合計所得金額に応じて変動します |
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確定申告に必要な書類の保管期間
確定申告に必要な書類は、個人の場合、7年間保存されていれば問題ありません。
国税の徴収権の時効は5年間(調査権は7年間)とされていることから、7年間書類を保存しておけば問題ありません。
会社の場合は、会社法によって10年間の帳簿等の保管が義務付けられていますので、10年間は保管が必要となります。
青色申告を行っている個人事業主・フリーランスは、以下のように詳細に帳簿書類の保存期間が定められています。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類
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決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年 | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
一方、白色申告を行っている個人事業主・フリーランスは以下のように帳簿書類の保存期間が定められています。
保存が必要なもの | 保存期間 | |
帳簿
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収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書類
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決算に関して作成した棚卸表その他の書類 |
5年
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業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 |