クラウドファンディングの一手法として、ソーシャルレンディングというものがある。これは、ネットワークを介してお金を借りたい人と、貸したい人を結びつける融資仲介サービスだ。実はいま、ソーシャルレンディングを活用した、不動産投資が注目を集めている。

■ソーシャルレンディングとは

仕組みとしては、まず不動産投資を予定している借手がソーシャルレンディング運営会社に対して融資の申し込みを行う。運営会社は審査をし、ソーシャルレンディングサイト内にて投資家に対して投資を募る。投資家は運営会社と匿名組合出資契約を締結し出資を行う。運営会社は集まった資金を借手に対して貸付ける。借手はその資金により不動産投資を行い、利息とともに運営会社に対して返済を行う。こうして、運営会社は、各投資家に対して分配を行うというのが、一連の流れである。

不動産は非常に高額であるため、本来であれば多額の資金が必要となる。しかし、このソーシャルレンディングを利用する場合、大勢で資金を出し合い不動産投資を行うため、ひとりあたりの投資額が、その分少額で済むという仕組みである。
ソーシャルレンディングの最大のメリットは、その利回りだ。ただし、預金や国債とは異なり、不動産には毀損リスクもあるため、大きな利益を享受できる代わりに、当然ながら失うリスクも大きいということには、注意が必要である。

■課税関係は?

ソーシャルレンディングに投資をしたことにより、運営会社から分配を受けた場合には、その分配金が所得税の対象となる。この場合には、運営会社と匿名組合出資契約を締結しているため、所得税基本通達36・37共-21により、「匿名組合契約を締結する者で当該匿名組合契約に基づいて出資をする者が当該匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得とする」と規定されていることから、雑所得として給与所得などのほかの所得と合算のうえ、総合課税の対象となる。

なお、ソーシャルレンディングではなく自ら不動産投資をした場合には、その不動産投資により収受する対価、および伴って支出する費用はいずれも不動産所得を構成し、ソーシャルレンディングによる分配金と同様、ほかの所得と合算のうえ、総合課税の対象とされる。

総合課税の対象となることは、いずれにおいても同様であるが、雑所得と不動産所得では大きく異なる点がひとつ。それは経費の取り扱いである。不動産所得の場合にはさまざまな経費を計上することができ、青色申告である場合には青色申告特別控除も可能であるのに対し、雑所得では計上できる経費が限定されてしまう。とくに、雑所得の中でも匿名組合出資契約による分配金については、原則として費用が生じないため、分配金の全額を所得として計上しなければならないのである。

不動産所得の場合には、収入金額以上の経費を支出したときの不動産所得はマイナスとなり、給与所得などの他の所得と損益通算をすることができる。しかし、雑所得については他の所得との損益通算は認められず、雑所得内での通算までしかできない。

■主なソーシャルレンディングサイト

1.LC LENDING(https://www.lclending.jp/
・運用利回り5.0~10.0%(年率・税引前)
・利息は原則毎月分配
・投資口座開設時の事務手数料、口座管理料等:ゼロ
・貸付件数368件(うち完済件数103件)
・貸付金額5,274,010,000 円(うち完済金額2,087,520,000 円)
※いずれも2016年12月23日時点の数値

2.Lucky Bank(https://www.lucky-bank.jp/
・投資利回り年6%〜10%(税引前)
・収益は毎月分配
・全案件について不動産担保を設定しているため高い保全性が期待できる。
・口座開設、維持手数料、取引手数料:ゼロ
・運用件数288件(うち終了件数74件)
・運用金額6,946,520,000円(うち終了金額2,050,830,000円)
※いずれも2016年12月23日時点の数値

マイナス金利となっている昨今、金融機関へ預金を預けるよりも有用かもしれない「ソーシャルレンディング」これを機に、一度利用を考えてみてはいかがだろうか。

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