女性記者のひとりごと vol.1 国税記者
帰りがけに「たまにはクラブに顔を見せて下さいネ」なんて言おうものなら、
周囲は「どこのクラブ…?」と思ったことだろう。

「国税記者」になってかれこれ20年になる。
毎年の税制改正や税務調査、脱税事件、節税対策などについて
関係省庁や専門家に取材して、記事を書く。
法学部出身でもないのに、よくもまあこれだけ長く続けられたと思う。
入社当時、女性記者はまだ数少なく、
また若かったこともあり、取材先ではチヤホヤしてもらった。
不勉強で生意気な駆け出しの女性記者を、
役人たちはよく相手にしてくれたと思う。
しかも新人時代の私は、少々「派手」だった。
お堅い取材先に合わせて、男性記者たちは皆落ち着いた色調のスーツ姿。
そんな中で、膝上20センチのミニスカートはかなり浮いていたようだ。
調査部や査察部に取材に行って脚を組んで取材。
帰りがけに「たまにはクラブに顔を見せて下さいネ」なんて言おうものなら、
周囲は「どこのクラブ…?」と思ったことだろう。
当時、日参していた幹部クラスの方々には本当にご迷惑をおかけした。
ちなみに「クラブ」とは、財務省や国税庁にある記者クラブのことだ。
現在も週に1〜2日は立ち寄って情報収集している。
来週は、幹部たちとの懇親会。これも重要な仕事のひとつだ。

著者: 川瀬かおり
記者/税金ライター
社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。