税理士で業務設計士®を名乗る武内俊介氏(株式会社リベロ・コンサルティング代表)が、会計人に求められる「業務設計」について解説するこの連載。4回目は、販売管理ツール「board」と「freee会計」を連携し、販売管理プロセスを再構築する実用的手法を解説します(協力:board/ヴェルク株式会社)。

この記事の目次

リベロ・コンサルティング代表・税理士・業務設計士の武内俊介氏

武内俊介

株式会社リベロ・コンサルティング代表取締役。業務設計士®、税理士。

金融、会計事務所、スタートアップなどを経て独立。日本で唯一の「業務設計士®」を名乗り、DXプロジェクトなどに際しての業務の整理や最適化、導入システムの選定などを独自のメソッドで支援する業務設計コンサルティングを提供している。また、boardのアンバサダーを務め、中小企業にとって「ちょうどいい」販売管理ツールであるboardの魅力をさまざまなところで発信している。

※この連載は、クラウド型業務・経営管理システム「board」の開発・運営などを行うヴェルク株式会社の協力でお送りしています

 

前回の記事では、業務改善に取り組む際に「販売管理領域」から手をつけることの重要性を紹介しました。

売上という企業活動の中心に位置する業務でありながら、各社独自のやり方が長年踏襲されているケースは少なくありません。
契約、請求、入金管理といった事務作業が営業活動と並行して発生するため、対応が滞れば経営全体に影響を及ぼすこともあります。

販売管理は業務プロセスの多くが自社内で完結し、経営者の関心も高いため、最初に改善に取り組む領域として適しています。
ここで成果を出すことができれば、組織全体に「改善できる」という実感を広げ、次の取り組みへとつなげる強力な一歩となります。
また、こうした業務を整理し、効率的な形に再構築することで、会計業務にも好影響を与えることができます。

この記事では、freee会計とboardを組み合わせて販売管理プロセスを再構築する具体的なアプローチを紹介します。

販売管理プロセスの課題と会計人の関与ポイント

販売管理プロセスには、見積から受注、請求、そして入金まで、複数のステップがあります。
多くの企業ではこれらの処理をExcelやメールに頼って進めており、情報が社内のあちこちに分散してしまいます。
その結果、請求書の発行や入金の消込に時間がかかるだけでなく、二重入力や記録の抜け漏れが発生するリスクも高まります。

こうした課題は経理部門のなかだけにとどまりません。
営業部門は本来の業務である顧客対応や提案活動よりも、請求処理などの事務作業に時間を奪われがちになります。
経営層にとっても、正確な売上やキャッシュフローをタイムリーに把握できないことで、資金繰りや投資判断に遅れが生じる可能性があります。結果として、組織全体の意思決定スピードや経営の柔軟性にまで影響が及ぶのです。

会計業務の視点からも、この状況を放置することはできません。
月次決算の遅れやキャッシュフローの不透明化といった形で直接的な影響が出るからです。
ここに会計人が関与するポイントがあります。例えば、請求書発行が会計仕訳にスムーズに自動連携される仕組みを導入すれば、入力の重複を防ぎ、記録の正確性を高められます。
入金消込を迅速に行える環境を整えることは、資金繰り予測や経営者への報告精度にも直結します。
また、販売管理のデータを会計情報と結びつけることで、単なる記録業務を超えて、業績分析や経営判断に役立つ情報基盤を整えられるのです。
販売管理プロセスの改善は、現場の効率化だけでなく、会計情報の質を高める取り組みそのものと言えるでしょう。

boardで販売管理を整理する

販売管理の課題を解決するうえで有効なのが、boardの活用です。
boardは、見積から請求までの一連の流れを一元的に管理できるソフトウェアであり、案件単位で売上や請求を整理する仕組みを提供します。
これにより、Excelやメールに分散していた情報を1つのプラットフォームに集約でき、業務の抜け漏れや重複を防ぐことが可能になります。

boardは「案件」という単位で取引を管理するのが大きな特徴です。
案件のなかでは、見積書・発注書・納品書・検収書・請求書・領収書などを必要に応じて発行できます。
ステータス(見積中・受注済・請求済など)も管理でき、見積内容をそのまま請求書に反映させたり、請求書だけ内容を変更したりすることも可能です。

案件ごとに情報が整理されることで、営業担当と経理担当のやりとりがスムーズになります。

さらに、1つの見積書から複数の請求書を発行できる点も実務上の大きな利点です。
年間契約を毎月分割で請求するケースや、着手金と残金を分けて請求するケースなどに対応できます。
分割請求や着手金といった典型的なシナリオを処理できる仕組みは、多くの企業にとって実用的です。

情報がboardに集約されることで、経理担当者や経営者が「あの件はどうなっているのか」と確認する手間も減り、全体像を把握しやすくなります。
結果として、販売管理業務の全体を見渡しやすくなり、抜け漏れを防ぎながら効率的な運営が可能になります。