会計人の倫理観は訪問看護の倫理観ともベストマッチ?

会計情報を迅速かつタイムリーに共有するためには、現在日々進歩を続けているIT技術、その中でもクラウド技術を活用することが理想的だ。
情報伝達が、対話から携帯電話に、FAXから電子メールに変わったように、クラウド技術もまた現在の情報共有の中で重要な位置を占め、コストを含めた活用の垣根を大きく下げている。クラウド技術を活用することで、多額のコストを掛けなくとも膨大かつ正確な会計情報を、素早く高い頻度で共有できる。
必要な人に必要な情報だけをわかりやすく伝達し、しかもその活用方法も併せて伝達するといったことがクラウド技術により身近なものになったことで、これまで会計の世界と縁遠かった訪問看護ステーションにも会計人活躍の場が広がっているのだ。

ところで、訪問看護ステーションと会計人とは、そのニーズ以外にも相性の良い部分が多い。従来は接点の少なかった両者だが、今後のニーズの高まりの中で両者のビジネスの大きな発展につながる面白い取り組みが生まれるかもしれない。

まず、訪問看護ステーションの売上の構造が、医療保険と介護保険という制度で決められたものであるということが、他のビジネスではない大きな特色になっている。
これによって訪問看護では貸し倒れのリスクがなく、売上金の回収コストが少なく済むという特色があるが、それだけでなく「会計上のフローが明らかで制限されている」ために、業務全体の効率化が比較的実施しやすい環境があるのだ。独自のフローが発生しにくいため、シンプルなフローを徹底させ、効率化させやすい。

また、公的資格者である会計人は、その倫理観においても、適切な医療介護サービスを提供することで地域に貢献する訪問看護ステーションの倫理観と共鳴しやすいとも考えられる。
利用者(患者)の状態を適正に判断して、連携先とともに公正かつ効果的な対応を取る訪問看護ステーションと、会計・税務を通してその公正性を判断し、助言を行う会計人との相性はかなり高いように思われる。
在宅医療の現場で遭遇する相続などのお金の問題についても、訪問看護と会計人の組み合わせは、その倫理観によってより適切な対応を実現するかもしれない。

訪問看護ステーションと会計人というこれまで縁遠かった両者が、時代の求めに応じて共同での取り組みを目指すタイミングが来ている。
当社でも、訪問看護ステーションの開業運営支援に「管理会計」の知識を取り入れ、研修でも「管理会計」の知識が学べるカリキュラムを用意しているほか、会計人・会計事務所と訪問看護ステーションとを結ぶ取り組みを始めている。

次回は、今回お話しした会計人の新たな活躍の場と、それを可能にする先端技術に基づく新環境についてさらに掘り下げて説明したいと思う。どのように会計人の活躍環境が変わり、バックオフィス業務に変化をもたらしているのか、次回をお楽しみに!