新規事業の立ち上げに補助金を活用するデメリット
新規事業の立ち上げに補助金・助成金を活用する場合には、以下のようなデメリットがあることを忘れてはなりません。
補助金の入金までにかなり時間がかかる
補助金は、申請書を提出してすぐに入金があるわけではありません。
補助金は、事業者が特定の事業を行って、その支出について証拠を示したうえで書類を提出し、自治体側がそれをチェックしてから、お金が入金されます。
したがって、事業者側からみれば、申請書を提出してから入金までに1年以上かかるというケースも少なくありません。
また、補助金は一定の期間で終了することが多く、その後の資金調達が必要になることがあります。
継続的な資金調達が困難な場合、事業の継続に影響が出ることがあります。
書類作成や提出に手間がかかる
補助金の申請には、書類作成や手続きが必要です。
これには多くの時間や労力がかかることがあり、特に小規模な個人事業主にとっては負担となることがあります。
また、補助金を受けた場合、一定期間ごとに成果報告を行う義務があります。
これにより、事業の進捗状況や成果を適切に管理・報告する手間が発生します。
必ず補助金・助成金を受け取れるとは限らない
補助金の審査基準は厳しく、全ての申請者が受けられるわけではありません。
審査に落ちる可能性があるため、補助金に頼らずに事業を進めることが必要です。
補助金は基本的に返済不要ですが、事業が計画通りに進まなかったり、補助金の使途が不適切であった場合、返還を求められることがあります。
個人事業主が事業を開始する際に利用できる補助金
最後に、個人事業主が事業を開始する際に利用可能な補助金を具体的な補助金名を紹介しながら解説していきます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓などといった取組みで支出した経費の一部について補助を受けられる補助金制度です。
小規模事業者は多くの経営課題に直面しています。
インボイス制度の導入、働き方改革、賃上げといった経営課題に対応するには、資金力に乏しい小規模事業者では難しいということも少なくありません。
小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用や産業を下支えしている小規模事業者の生産性向上や持続的発展を図ることを目的としたものです。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業の事業再編を支援するための補助金です。
新型コロナウイルス感染症が長引く中で、需要や売上の回復が短期間で見込めない状況が続いています。
このような状況下で、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に適応するためには、中小企業などの事業再構築を支援し、日本経済の構造変化を推進することが重要となります。
その目的のために、新規事業展開、事業転換、業種変更、業態変更、または事業再編といった大胆な事業再構築に積極的な中小企業の取り組みをサポートするのが、事業再構築補助金です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、正式名称をものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金と言います。
この補助金制度は、中小企業や小規模事業者が今後数年間で続々と直面することが予想される制度変更(働き方改革、被用者保険の適用範囲拡大、賃金上昇、インボイス制度の導入など)に対応できるよう、これらの企業・事業者が取り組む革新的なサービス開発、試作品の開発、生産プロセスの改善を実現するための設備投資などを支援する目的で設けられたものです。
この補助金は、事業者が制度変更に適応し、競争力を維持・向上させることができるよう、経済環境の変化に柔軟に対応することを促す役割を果たしています。
具体的には、革新的サービス開発によって、新たな市場ニーズに対応し、事業の拡大が可能となります。
また、試作品開発に取り組むことで、新しい商品やサービスを生み出し、競争力の強化が期待されます。
さらに、生産プロセスの改善を行うことで、効率化やコスト削減が図られ、企業の経営基盤が強化されるでしょう。
このように、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、制度変更に対応するための取り組みを支援し、中小企業や小規模事業者の競争力を維持・向上させることに貢献しています。
これにより、日本経済全体の発展にも繋がることが期待されています。
IT導入補助金
IT導入補助金は、通常枠(A・B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)という複数の枠組みで構成された補助金制度で、いずれの枠組みも、事業者のITツール導入を支援することを目的としたものです。
具体的には、それぞれ以下のような特徴があります。
IT導入補助金:通常枠(A・B類型)
この枠は、中小企業や小規模事業者が自分たちの課題やニーズに適したITツールを導入する際の費用の一部を補助することで、業務効率化や売上向上をサポートする目的で提供されています。
自社の状況を分析し、強みと弱みを明確に把握した上で、適切なITツールを導入することで、業務効率化や売上向上などの経営力を強化することを目指しています。
IT導入補助金:セキュリティ対策推進枠
この枠は、中小企業や小規模事業者がサイバーインシデントによって事業継続が困難になる状況を避けることを目的としています。
また、サイバー攻撃による供給制約や価格上昇の潜在的なリスクを低減し、生産性向上に対する障壁を取り除くことを目指しています。
IT導入補助金:デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
この枠は、中小企業や小規模事業者が会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどを導入する際の経費の一部を補助することで、インボイス対応を含めた企業間取引のデジタル化を促進することを目的としています。
この取り組みにより、企業間取引がスムーズになり、ビジネス環境の改善が期待されます。
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
地域のDXを進め、生産性を向上させるために、複数の中小・小規模事業者が協力してITツールとハードウェアを導入する取り組みを支援する制度です。
この支援には、複数の企業にITツールを導入するための支援や、協力を効果的にするためのコーディネート費用、外部の専門家による助言を含め、謝礼金などが含まれます。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を機に新たな取り組みやイノベーションを実現しようとする中小企業や、事業再編や事業統合に伴って経営資源を引き継ぐ中小企業を支援するための制度です。
この制度は、事業承継やM&A(事業再編・事業統合など、経営資源を引き継ぐ形での創業も含む)を契機として、経営革新や事業の発展に挑戦する企業や、M&Aを通じて経営資源を引き継ぎ、事業の拡大や効率化を目指す企業を後押しすることを目的としています。
また、廃業や再チャレンジを検討している中小企業者に対しても事業承継・引継ぎ補助金を活用することで、事業の継続や再出発をサポートすることが可能です。
このような支援を通じて、事業承継やM&Aを行う企業が引き継いだ経営資源を活かし、新たなビジネスチャンスをつかむことで、市場で競争力を維持・向上させることが期待されます。
また、事業承継・引継ぎ補助金は、廃業や再チャレンジを検討している中小企業者にとっても、新たな道筋を示し経済活動の活性化に貢献することが期待されています。
まとめ
個人事業主が補助金・助成金を活用することで、負担を減らしながら効果的に資金を調達することができます。
補助金・助成金制度は様々なものがあるので、どのような制度に申請するかは慎重に選ぶ必要があります。
補助金・助成金の申請には手間がかかりますし、入金までにタイムラグがあるので注意してください。
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