資金供与者等が介在した取引に注意

資金供与者等とは、国外支配株主等が第三者を通じて内国法人に資金を供与したり、第三者に対して債務を保証することにより、第三者が内国法人に対して資金を供与したと認められる場合等における第三者をいいます。

国外支配株主等から直接借入を行わず、内国法人と国外支配株主等の間に第三者を介在させて借入を行うことによって、過少資本税制の適用を免れようとする行為を防止するために、資金供与者等についても過少資本税制の適用を判定する際に考慮することとされています。

ケース

X国の法人であるA社は、日本への進出を検討しており、新たに日本に100%出資の子会社を設立し、日本人向けに高級ブランド品を販売することを計画しています。

事業計画によると、事業を軌道に乗せるための必要な初期投資は約2億円と見込まれます。

日本に設立する法人は、中小企業に対する税制上の優遇措置を受けられるようにするため、資本金を500万円とし、事業活動に必要な資金は全額X国の親会社からの借入金で調達することを検討しています。

このような事業スキームにおいて、何か注意すべき税制はあるでしょうか。

 

【検討】

このケースでは、過少資本税制に注意が必要です。

今回のケースの場合、日本子会社の資本金が500万円なので、支払利息が損金算入できる借入金の元本の目安は1,500万円までとなります。

概算では、1,500万円を上回る1億8,500万円に対応する支払利息は、過少資本税制の適用により損金算入できないことになります。

支払利息を最大限に損金算入するためには、必要資金のうち、親会社からの出資を4分の1、残りの4分の3を親会社からの借入とするのが一つの目安となると思われます。

このように、過少資本税制を念頭に置いて、出資と借入のバランスを決めることが望ましいと思われます。

総括~税務署所管法人は注意!

過少資本税制は、出資と借入の比率に注意を払っていれば、適用を避けることは可能です。

ただし、資本金が比較的少額な税務署所管の外資系法人は注意が必要です。

国内で資金調達が困難な場合、外国の親会社からの借入れに依存しなければならず、知らず知らずのうちに過少資本税制の対象となっていたというケースは見受けられます。


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