5千万円を超える「国外財産」を保有する者は、翌年の3月15日までに「国外財産調書」を提出しなければなりません。国外財産調書の対象となるのは「国外財産」ですが、実務上は国外財産に当たるか否かの判定において判断に迷うケースも少なくありません。国外財産に当たらないだろうと思っていたら、実は国外財産だったというケースも見られます。

国外財産調書制度では、その年の 12 月 31 日において、5千万円を超える「国外財産」を保有する居住者(非永住者を除きます。)は、確定申告書の提出期限である翌年の3月 15 日までに当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、提出する義務があります。

 

ここで、「国外財産」とは「国外にある財産をいう」とされています。今回は、「国外財産」に当たるか否かの判定において、誤りやすいケースを取り上げてみました。

【Q1】日本の銀行の海外支店に開設した預金口座は、国外財産に該当するでしょうか?

(回答)

金融機関に預け入れている預貯金が「国外にある」かどうかは、円建て、外貨建てであるかを問わず、その預金等の受入れをした金融機関の営業所又は事業所の所在地で判定します。つまり、口座のある支店がどこにあるかが問題となります。

 

したがって、日本の銀行の海外支店で開設した口座は「国外財産」となり、国外財産調書への記載が必要となります。

一方、海外の銀行の日本支店で開設した口座は「国内財産」となるため、記載の必要はありません。

【Q2】 日本の銀行の国内支店に外貨預金口座を開設していますが、この外貨預金は国外財産に該当するでしょうか?

(回答)

【Q1】で見たとおり、預貯金はその預金等の受入れをした金融機関の営業所又は事業所の所在地で判定します。

よって、日本の銀行の国内支店に開設した口座に預け入れている外貨預金については、国内財産に該当するため、国外財産調書への記載する必要はありません。

 

同様に、外国銀行の国内支店に預け入れている外貨預金についても、国外財産調書への記載の対象にはなりません。