過少資本税制とは、我が国の外資系法人が外国の親会社からの過大な借入を受け、多額の利子を支払うことによる租税回避を防止するための制度です。

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過少資本税制とは、我が国の外資系法人が外国の親会社からの過大な借入を受け入れることによる租税回避を防止するために、出資と借入の比率が一定割合(原則3倍)を超える部分に対応する支払利子の損金算入を認めないとする制度です。

資本金が比較的少額で、外国の親会社から多額の借入のある外資系法人は、過少資本税制の適用に注意が必要です。

なぜ過少資本税制が必要か

我が国で事業を行う外国法人の子会社(外資系法人)が資金を調達する場合、親会社からの「出資」と「借入金」の方法が考えられます。

税法上は、出資に対する配当は損金とはなりませんが、借入金に対する利子は損金の額に算入できることから、親会社からの出資を少なめにし、その分借入金を多くすれば、我が国での税負担を減少させることができます。

過少資本税制とは、外国の親会社からの過大な借入を受け入れ、多額の利子を支払うことによる租税回避を防止するために、出資と借入の比率が一定割合(原則として、外国親会社等の資本持分の3倍)を超える部分に対応する支払利子の損金算入を認めないこととする制度です。

過少資本税制はどのような場合に適用されるのか

内国法人が外国の親会社に借入金等の利子等を支払う場合に、その借入金等が外国親会社の資本持分の3倍を超えるときは、その超える部分に対応する負債利子の額は損金の額に算入されません(申告書上所得金額に加算され、社外流出となります)。

ただし、総負債(利子等の支払の起因となるものに限られます)に係る平均負債残高が、自己資本の額の3倍以内であれば、この制度の適用はありません。

なお、上記の3倍に代えて、同種の事業を営む内国法人で、事業規模その他の状況が類似するもの(類似法人)の総負債の額の純資産の額(資本金等の額に満たない場合は、資本金等の額)に対する比率に照らし妥当と認められる倍数を用いることができます。

対象となる外国の親会社~「国外支配株主等」とは

過少資本税制では、外国の親会社のことを「国外支配株主等」と呼んでいます。

「国外支配株主等」とは非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」という)で、内国法人との間で次のような関係にあるものをいいます。

イ)親子関係

内国法人が発行済株式等の50%以上を直接又は間接に保有される関係。

ロ)兄弟関係

内国法人と外国法人が同一の者によって、それぞれ発行済株式等の50%以上を直接又は間接に保有される関係。

ハ)実質支配関係

次に掲げるような事実があることにより、非居住者等が内国法人の事業の方針の全部又は一部について実質的に決定できる関係。

  1. 内国法人がその事業活動の相当部分を当該非居住者等との取引に依存していること。
  2. 内国法人がその事業活動に必要とされる資金の相当部分を当該非居住者等からの借入又は当該非居住者等の保証を受けて調達していること。
  3. 内国法人の役員の2分の1以上又は代表権を有する役員が、当該外国法人の役員若しくは使用人を兼務しているか、又はかつて当該外国法人の役員若しくは使用人であった者であること。